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キーワードでわかる臨床栄養

第4章栄養と免疫,および生体防御機構

4-3:水溶性食物繊維[soluble dietary fiber]

■水溶性食物繊維[soluble dietary fiber]
 食物繊維は,小腸までの消化管では消化・吸収されず大腸に達する.食物繊維は消化管内での溶解度により大きく水溶性(発酵性)と不溶性(非発酵性)に分けられる.水溶性食物繊維は腸粘膜表面の不撹拌層の増大や,糖質やコレステロールの吸着によりそれらの吸収を抑制するため,糖尿病や高脂血症,心血管系の患者に応用されている.また,小腸で消化吸収を受けずに大腸に到達し,ビフィズス菌や乳酸菌などの腸内細菌によって選択的に資化され,大腸内で短鎖脂肪酸が生成される(図1).水溶性食物繊維のなかでも高発酵性のグアーガムを加水分解したグアーガム分解産物(partially hydrolyzed guar gum:PHGG)は,ICU患者や術後の症例で下痢の予防に有用であることが示され,欧州臨床栄養代謝学会(ESPEN)のconsensus recommendation ではGrade Aに推奨されている(参考文献4-3-19).
2-8:水溶性食物繊維[soluble dietary fiber](https://www.nutri.co.jp/nutrition/keywords/ch2-8/keyword1/)も参照. 図1

図1●短鎖脂肪酸の作用
水溶性食物繊維は腸内細菌によって資化され,短鎖脂肪酸を生成する.
短鎖脂肪酸は大腸上皮細胞や宿主のエネルギー源になる.
また大腸管腔内のpH の低下をきたし,腸内細菌叢のバランスを改善する.
さらに腸管内の受容体に結合することでさまざまな腸管の器質的,機能的改善をきたす.

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