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第6章栄養療法の実践

6-1:栄養療法の種類

■栄養投与経路の種類

 栄養投与経路は,経腸栄養(enteral nutrition:EN)と静脈栄養(parenteral nutrition:PN)がある(表Ⅰ).経腸栄養には,口から飲んだり食べたりする経口栄養と,経管栄養がある.そして経管栄養は,経鼻アクセスや消化管瘻アクセスを用いて経腸栄養剤を投与する.

表Ⅰ栄養補給法

 一方,静脈栄養には,末梢静脈内に栄養素を投与する末梢静脈栄養(peripheral parenteral nutrition:PPN)と,中心静脈にカテーテルを留置して栄養素を投与する中心静脈栄養(total parenteral nutrition:TPN)がある.
 消化管機能のアセスメント,すなわち消化吸収能が十分機能しているか,どのレベルから消化管が機能しているのか,などを評価し,さらに栄養補給の必要な期間を想定して,栄養投与経路を決定する.その際,誤嚥の有無や,全身状態,基礎疾患などを考慮して,個々の症例において最も生理的な栄養補給法を選択することが大切である.

■栄養投与経路の選択基準

 栄養療法の大原則は,“When the gut works, use it !”「腸が働いているなら,腸を使おう!」である.腸が機能しており,安全に使用可能であれば,原則的に経口栄養,経管栄養を施行する(図Ⅰ).経口摂取が可能で,摂取量が少なければ,まずは経口からの経腸栄養剤内服などによる栄養補助を考慮する.嚥下障害などで栄養が口から摂取できないときは,経管栄養を選択する.栄養補給が一時的,短期間の場合は,鼻から胃や十二指腸,空腸にカテーテルを入れ,経鼻カテーテルからの栄養法を選択する.期間が4週間以上の長期になる場合は,胃瘻,腸瘻からの栄養法を選択することが勧められる.多発性脳硬塞で摂食嚥下障害を示す寝たきり高齢者の場合は,腸は機能しているが,経口摂取はできず,その栄養療法の期間は長期にわたるため,胃瘻からの栄養法が選択されることになる.

図Ⅰ●栄養補給のための投与ルートのアルゴリズム(ASPEN)

図Ⅰ●栄養補給のための投与ルートのアルゴリズム(ASPEN)
(文献6-1-1より引用)

 一方,静脈栄養の適応は,腸が機能していない場合である.
①腸を使った栄養法である経口栄養,経腸栄養が困難な場合,
②消化管が安全に使用できない場合,
③静脈からの栄養補給が有利な場合,などがある.
腸閉塞や高度の下痢症など消化管の機能が侵されていて,消化管が安全に使用できない場合は,やむをえず静脈栄養法を選択することになる.静脈栄養法は,2週間未満の比較的短期間の場合にはPPNを,2週間以上の長期の場合にはTPNを選択するのが原則となる.
 米国静脈経腸栄養学会(ASPEN)の栄養療法のアルゴリズムでも,消化管機能が維持され,消化管が使用可能であり,経腸栄養が禁忌であるような病態でない限り,経腸栄養を選択すべきとしている(図Ⅰ)(参考文献6-1-1).そして,経腸栄養の禁忌として,汎発性腹膜炎,腸閉塞,難治性嘔吐,難治性下痢,腸管虚血などがあげられている.また,このアルゴリズムで注目すべきは栄養補給からの離脱の際の方針も示されているところである.
 臨床栄養代謝学会のガイドラインにおいても,「腸が機能している場合は,経腸栄養を選択することを基本とする」とされ,「経腸栄養が不可能な場合や,経腸栄養のみでは必要な栄養量を投与できない場合には,静脈栄養の適応になる」と記載されている(参考文献6-1-2).

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