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第5章栄養状態の評価

5-5:食生活状況の把握

■食生活状況把握の目的と概要

 患者の食生活状況の把握は,栄養状態の評価に用いるだけでなく,栄養療法の方向性を検討するうえで重要となる.食事の摂取状況と臨床検査値などの客観的指標を組み合わせて評価することで,より多面的な栄養アセスメントにつなげることができる.また,栄養療法の目標は患者の病状や治療方針に合わせて設定するため,個人の嗜好や摂取状況に合わせた栄養療法が必要となる.つまり,適切な栄養療法を行うためには,食事調査から得られた情報を評価し,栄養療法に活かさなければならない.
 食事調査の方法には,①調査開始時から摂取したものを前向きに調査する方法(食事記録法写真撮影法),②調査開始以前に摂取したものを後ろ向きに調査する方法(24時間思い出し法,食物摂取頻度調査法食事歴法),③複数の調査方法を組合わせる方法があり,対象者や目的に応じて使い分ける必要がある.例えば,食事記録法や24時間思い出し法は1日~数日間の摂取状況を,食物摂取頻度調査法食事歴法は1カ月以上の長期間の摂取状況を把握するのに適している.いずれにせよ,調査に要する時間や労力,精度,コストの問題を考慮して調査方法を選択するとよい.加えて,食事調査法ではさまざまな要因により測定誤差が生じることを理解しておく.献立や摂取量は日々異なり,季節によって食事内容も変化する(日間変動・季節間変動).
 また,食事調査では対象者の申告漏れがあれば,正確な情報は得られない.さらに,菓子類やアルコールなど,対象者が好ましくないと思っている食品を過少に申告する可能性もある.つまり,正確に摂取状況を把握することは決して容易ではなく,食事調査はいかに誤差を抑えて調査するかが鍵となる(参考文献5-5-1)~(参考文献5-5-3)(表Ⅰ).
 また,ここ数年で食事調査法は大きな変化を遂げている.例えば,携帯電話やスマートフォンの普及により,写真撮影法はより簡便に行える調査方法となった.若年の患者では,食事記録法より写真撮影法の方が抵抗なく実施してもらえる場合がある.さらに,食事内容を入力して摂取量を評価するシステムが開発されており,より簡便に精度が高い食事調査が行えるようになっている(参考文献5-5-4).
 また,入院患者の食事摂取状況を把握するためには,前述の方法に加え,残菜調査が用いられる.給食の摂取状況から必要栄養素量を充足しているか確認し,栄養状態のアセスメント,栄養療法に活用する.摂取状況と客観的指標の推移を評価することで,入院中の栄養状態の変化を把握することができる.

表Ⅰ●各食事調査の長所と短所
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