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付録:日本人の食事摂取基準(2020年版)

■ 食事摂取基準(2020年版)概要

以下の概要は『日本人の食事摂取基準(2020年版)(厚生労働省)』をもとに作成した.

A. 対象とする個人および集団の範囲

食事摂取基準の対象は,健康な個人および健康な者を中心として構成されている集団とし,生活習慣病などに関する危険因子を有していたり,また,高齢者においてはフレイルに関する危険因子を有していたりしても,おおむね自立した日常生活を営んでいる者およびこのような者を中心として構成されている集団は含むものとする.具体的には,歩行や家事などの身体活動を行っている者であり,体格〔body mass index:BMI,体重(kg)÷身長(m)2〕が標準より著しく外れていない者とする.なお,フレイルについては,健常状態と要介護状態の中間的な段階に位置づける.
疾患を有していたり,疾患に関する高いリスクを有していたりする個人および集団に対して治療を目的とする場合は,食事摂取基準におけるエネルギーおよび栄養素の摂取に関する基本的な考え方を必ず理解したうえで,その疾患に関連する治療ガイドラインなどの栄養管理指針を用いることになる.

B. 栄養素の指標

必要となる栄養素摂取量を理解するために,以下の指標が定められている.また,これらの各指標を理解するための概念図を図Ⅰに示した.

① 推定平均必要量(estimated average requirement:EAR)
当該集団に属する50%の者が必要量を満たす(同時に,50%の者が必要量を満たさない)と推定される摂取量として定義される.

② 推奨量(recommended dietary allowance:RDA)
当該集団に属するほとんどの者(97〜98%)が充足している量として定義する.推奨量は,推定平均必要量がある栄養素に対して設定される.
推奨量=推定平均必要量×(1+2×変動係数)=推定平均必要量×推奨量算定係数として求めた.

図Ⅰ●食事摂取基準の各指標(推定平均必要量,推奨量,目安量,耐容上限量)を理解するための概念図
食事摂取基準には5つの指標が使用されており,適切な栄養管理を行うためには各指標の意味を理解する必要がある.栄養素の摂取不足の回避を目的とした指標として,推定平均必要量,推奨量,目安量,過剰摂取による健康障害を防ぐための指標として耐容上限量がある.また生活習慣病を予防するための指標として目標量があるが,ここに示す概念とは性質が異なるため図示されていない.
(文献1より引用)

③ 目安量(adequate intake:AI)
特定の集団における,ある一定の栄養状態を維持するのに十分な量として「目安量」を定義する.十分な科学的根拠が得られず「推定平均必要量」が算定できない場合に算定するものとする.

④ 耐容上限量(tolerable upper intake level:UL)
健康障害をもたらすリスクがないとみなされる習慣的な摂取量の上限として「耐容上限量」を定義する.これを超えて摂取すると,過剰摂取によって生じる潜在的な健康障害のリスクが高まると考える.

⑤ 目標量(tentative dietary goal for preventing life-style related diseases:DG)
生活習慣病の発症予防を目的として,特定の集団において,その疾患のリスクや,その代理指標となる生体指標の値が低くなると考えられる栄養状態が達成できる量として算定し,現在の日本人が当面の目標とすべき摂取量として「目標量」を設定する.対象とした生活習慣病は,高血圧症,脂質異常症糖尿病,慢性腎臓病である.また,高齢者におけるフレイルも検討対象とした.

■ 食事摂取基準(2020年版)を活用するうえでの留意点

・ 食事摂取基準で示される摂取量は,すべて性・年齢区分における参照体位(日本人の平均的な体位)を想定した値である.参照体位と大きく異なる体位をもつ個人または集団に用いる場合には注意を要する.また,栄養素については,身体活動レベルⅡ(ふつう)を想定した値である.この身体活動レベルと大きく異なる身体活動レベルをもつ個人または集団に用いる場合には注意を要する.
・ 食事摂取基準で示される摂取量は,すべて習慣的な摂取量である.原則として,1食,1日,数日間などの短期間での管理を前提としたものではない.
・ 食事摂取基準の活用に当たっては,食事調査によって習慣的な摂取量を把握し,食事摂取基準で示されている各指標の値を比較することが勧められている.なお,エネルギーはエネルギー摂取量ではなく,体格指数および体重の変化を用いることが勧められている.

■ 食事摂取基準(2020年版)の主な改定のポイント

1)きめ細かな栄養施策を推進する観点から,より細かな年齢区分による摂取基準を設定し,1〜17歳を小児,18歳以上を成人とした.なお,高齢者については,65歳以上とし,年齢区分については,65〜74歳,75歳以上の二つの区分を設けた.

2)高齢者のフレイル予防の観点から,総エネルギー量に占めるべきタンパク質由来エネルギー量の割合(%エネルギー)について,65歳以上の目標量の下限を13%エネルギーから15%エネルギーに引き上げた.

3)若いうちからの生活習慣病予防を推進するため,以下の対応を実施する.
・飽和脂肪酸,カリウムについて,小児の目標量を新たに設定.
・ナトリウム(食塩相当量)について,成人の目標量を0.5 g/日引き下げるとともに,高血圧および慢性腎臓病(CKD)の重症化予防を目的とした量として,新たに6 g/日未満と設定.
・コレステロールについて,脂質異常症の重症化予防を目的とした量として,新たに200 mg/日未満に留めることが望ましいことを記載.

■ 健康の保持増進を図るうえで不足または過剰に摂取している栄養素

 以下に,不足または過剰に摂取することで健康に影響を及ぼす栄養素をそれぞれ示した.今回の改定にあたり推奨量や目安量が変更されたものもあるため,その背景にも留意したうえで各指標を活用されたい.

A. 欠乏が健康の保持増進に影響を与えている栄養素
・ タンパク質
・ n-6系脂肪酸,n-3系脂肪酸
・ 炭水化物,食物繊維
・ ビタミンA,ビタミンD,ビタミンE,ビタミンK,ビタミンB1,ビタミンB2,ナイアシン,ビタミンB6,ビタミンB12,葉酸,パントテン酸,ビオチン,ビタミンC
・ カリウム,カルシウム,マグネシウム,リン,鉄,亜鉛,銅,マンガン,ヨウ素,セレン,クロム,モリブデン

B. 過剰な摂取が健康の保持増進に影響を与えている栄養素
・脂質,飽和脂肪酸,コレステロール
・糖類(単糖類または二糖類であって,糖アルコールでないものに限る.)
・ナトリウム

表1●基準を策定した栄養素と指標①(1歳以上)

①一部の年齢区分についてだけ設定した場合も含む
②フレイル予防を図るうえでの留意事項を表の脚注として記載
③総エネルギー摂取量に占めるべき割合(%エネルギー)
④脂質異常症の重症化予防を目的としたコレステロールの量と,トランス脂肪酸の摂取に関する参考情報を表の脚注として記載
⑤脂質異常症の重症化予防を目的とした量を飽和脂肪酸の表の脚注に記載
⑥高血圧および慢性腎臓病(CKD)の重症化予防を目的とした量を表の脚注として記載
⑦通常の食品以外の食品からの摂取について定めた
ⓐ集団内の半数の者に不足または欠乏の症状が現れうる摂取量をもって推定平均必要量とした栄養素
ⓑ集団内の半数の者で体内量が維持される摂取量をもって推定平均必要量とした栄養素
ⓒ集団内の半数の者で体内量が飽和している摂取量をもって推定平均必要量とした栄養素
ⓧ上記以外の方法で推定平均必要量が定められた栄養素

表2●参照体位(参照身長,参照体重)

① 0 〜 17 歳は,日本小児内分泌学会・日本成長学会合同標準値委員会による小児の体格評価に用いる身長,体重の標準値をもとに,年齢区分に応じて,当該月齢および年齢区分の中央時点における中央値を引用した.ただし,公表数値が年齢区分と合致しない場合は,同様の方法で算出した値を用いた.18 歳以上は,平成28 年国民健康・栄養調査における当該の性および年齢区分における身長・体重の中央値を用いた
② 妊婦,授乳婦を除く

表3●目標とするBMI の範囲(18 歳以上)①②

① 男女共通.あくまでも参考として使用すべきである
② 観察疫学研究において報告された総死亡率が最も低かったBMI をもとに,疾患別の発症率とBMI の関連,死因とBMI との関連,喫煙や疾患の合併によるBMI や死亡リスクへの影響,日本人のBMI の実態に配慮し,総合的に判断し目標とする範囲を設定
③ 高齢者では,フレイルの予防および生活習慣病の発症予防の両者に配慮する必要があることもふまえ,当面目標とするBMI の範囲を21.5 〜 24.9 kg/m2 とした

表4●参考表:推定エネルギー必要量(kcal/ 日)

① 身体活動レベルは,低い,ふつう,高いの三つのレベルとして,それぞれⅠ,Ⅱ,Ⅲで示した
② レベルⅡは自立している者,レベルⅠは自宅にいてほとんど外出しない者に相当する.レベルⅠは高齢者施設で自立に近い状態で過ごしている者にも適用できる値である
③ 妊婦個々の体格や妊娠中の体重増加量および胎児の発育状況の評価を行うことが必要である
注1: 活用にあたっては,食事摂取状況のアセスメント,体重およびBMI の把握を行い,エネルギーの過不足は,体重の変化またはBMIを用いて評価すること
注2: 身体活動レベルⅠの場合,少ないエネルギー消費量に見合った少ないエネルギー摂取量を維持することになるため,健康の保持・増進の観点からは,身体活動量を増加させる必要がある

表5●参照体重における基礎代謝量
表6●身体活動レベル別にみた活動内容と活動時間の代表例

① 代表値.( )内はおよその範囲
② Black AE, et al:Eur J Clin Nutr, 50:70-92, 1996,Ishikawa-Takata K, et al:Eur J Clin Nutr, 62:885-891, 2008 を参考に,身体活動レベル(PAL)におよぼす仕事時間中の労作の影響が大きいことを考慮して作成
③ Ishikawa-Takata K, et al:J Epidemiol, 21:114-121, 2011 による

表7●たんぱく質の食事摂取基準(推定平均必要量,推奨量,目安量:g/ 日,目標量:% エネルギー)

① 範囲に関しては,おおむねの値を示したものであり,弾力的に運用すること
② 65 歳以上の高齢者について,フレイル予防を目的とした量を定めることは難しいが,身長・体重が参照体位に比べて小さい者や,特に75 歳以上であって加齢に伴い身体活動量が大きく低下した者など,必要エネルギー摂取量が低い者では,下限が推奨量を下回る場合がありうる.この場合でも,下限は推奨量以上とすることが望ましい
③ 妊婦(初期・中期)の目標量は,13 〜 20 %エネルギーとした
④ 妊婦(後期)および授乳婦の目標量は,15 〜 20 %エネルギーとした

表8●炭水化物の食事摂取基準

① 範囲に関しては,おおむねの値を示したものである
② アルコールを含む.ただし,アルコールの摂取を勧めるものではない

表9●脂質の食事摂取基準

① 範囲に関しては,おおむねの値を示したものである

① 飽和脂肪酸と同じく,脂質異常症および循環器疾患に関与する栄養素としてコレステロールがある.コレステロールに目標量は設定しないが,これは許容される摂取量に上限が存在しないことを保証するものではない.また,脂質異常症の重症化予防の目的からは,200 mg/ 日未満に留めることが望ましい
② 飽和脂肪酸と同じく,冠動脈疾患に関与する栄養素としてトランス脂肪酸がある.日本人の大多数は,トランス脂肪酸に関する世界保健機関(WHO)の目標(1 %エネルギー未満)を下回っており,トランス脂肪酸の摂取による健康への影響は,飽和脂肪酸の摂取によるものと比べて小さいと考えられる.ただし,脂質に偏った食事をしている者では,留意する必要がある.トランス脂肪酸は人体にとって不可欠な栄養素ではなく,健康の保持・増進を図るうえで積極的な摂取は勧められないことから,その摂取量は1 %エネルギー未満に留めることが望ましく,1 %エネルギー未満でもできるだけ低く留めることが望ましい

表10●脂溶性ビタミンの食事摂取基準

① レチノール活性当量(μg RAE)
=レチノール(μ g)+β - カロテン(μ g) × 1/12 +α - カロテン(μ g) × 1/24+β - クリプトキサンチン(μ g) × 1/24 +その他のプロビタミンA カロテノイド(μ g) × 1/24
② プロビタミンA カロテノイドを含む
③ プロビタミンA カロテノイドを含まない

① 日照により皮膚でビタミンD が産生されることをふまえ,フレイル予防を図る者はもとより,全年齢区分を通じて,日常生活において可能な範囲内での適度な日光浴を心がけるとともに,ビタミンD の摂取については,日照時間を考慮に入れることが重要である
②α - トコフェロールについて算定した.α - トコフェロール以外のビタミンE は含んでいない

表11●水溶性ビタミンの食事摂取基準

① チアミン塩化物塩酸塩(分子量= 337.3)の重量として示した
② 身体活動レベルⅡの推定エネルギー必要量を用いて算定した
特記事項: 推定平均必要量は,ビタミンB1 の欠乏症である脚気を予防するに足る最小必要量からではなく,尿中にビタミンB1 の排泄量が増大しはじめる摂取量(体内飽和量)から算定
③ 身体活動レベルⅡの推定エネルギー必要量を用いて算定した
特記事項: 推定平均必要量は,ビタミンB2 の欠乏症である口唇炎,口角炎,舌炎などの皮膚炎を予防するに足る最小量からではなく,
尿中にビタミンB2 の排泄量が増大しはじめる摂取量(体内飽和量)から算定

① ナイアシン当量(NE)=ナイアシン+ 1/60 トリプトファンで示した
② 身体活動レベルⅡの推定エネルギー必要量を用いて算定した
③ ニコチンアミドの重量(mg/ 日),( )内はニコチン酸の重量(mg/ 日)
④ 単位はmg/ 日

① たんぱく質の推奨量を用いて算定した(妊婦・授乳婦の付加量は除く)
② ピリドキシン(分子量= 169.2)の重量として示した
③ シアノコバラミン(分子量= 1,355.37)の重量として示した

① プテロイルモノグルタミン酸(分子量= 441.40)の重量として示した
② 通常の食品以外の食品に含まれる葉酸(狭義の葉酸)に適用する
③ 妊娠を計画している女性,妊娠の可能性がある女性および妊娠初期の妊婦は,胎児の神経管閉鎖障害のリスク低減のために,通常の食品以外の食品に含まれる葉酸(狭義の葉酸)を400 μg/ 日摂取することが望まれる
④ 付加量は,中期および後期にのみ設定した

① l- アスコルビン酸(分子量= 176.12)の重量で示した.特記事項:推定平均必要量は,ビタミンC の欠乏症である壊血病を予防するに足る最小量からではなく,心臓血管系の疾病予防効果および抗酸化作用の観点から算定
※ ビタミンC の妊婦と授乳婦の数値は付加量を示す

表12●多量ミネラルの食事摂取基準

① 高血圧および慢性腎臓病(CKD)の重症化予防のための食塩相当量の量は,男女とも6.0 g/ 日未満とした

① 通常の食品以外からの摂取量の耐容上限量は,成人の場合350 mg/ 日,小児では5 mg/kg 体重/ 日とした.それ以外の通常の食品からの摂取の場合,耐容上限量は設定しない

表13●微量ミネラルの食事摂取基準

① 妊婦および授乳婦の耐容上限量は,2,000 μg/ 日とした

※ モリブデンの妊婦と授乳婦の数値は付加量を示す

【執筆】栢下 淳

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