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第10章各疾患の栄養管理

10-6:肥満

■はじめに

 肥満とは,脂肪組織にトリグリセリドが過剰に蓄積した状態である.わが国では体格指数〔BMI=体重(kg)/身長(m)2〕が25以上で肥満と判定される.しかし,肥満は健康障害がなければ疾患とはならない.肥満に起因または関連した健康障害を有し,医学的に減量の必要がある状態,あるいは,内臓脂肪型肥満は現在健康障害を合併していなくとも,将来健康障害を発症するリスクの高い肥満として,「肥満症」と診断する(参考文献10-6-1).

■肥満症の治療方針

 治療目標は,内臓脂肪を減少させ,肥満に伴う健康障害を解消あるいは軽減,予防することである.また,内臓脂肪の減少を通じて種々の代謝異常を改善し,動脈硬化性疾患の予防をめざす.わが国ではBMI25未満の非肥満であっても,内臓脂肪蓄積があり,脂質異常,高血圧,高血糖のうち,2つ以上のリスクを有する場合に,メタボリックシンドロームとして治療介入が必要とされている.
 減量では,長期間の継続が困難な目標を設定すべきではない.目標設定のエビデンスとして特定保健指導対象者のうち肥満症の診断基準と合致し,積極的支援を6カ月間行った3,480人の1年後の体重減少と耐糖能異常,脂質異常,高血圧,高尿酸血症,肝機能障害の5種および健康障害との関係を解析した結果が報告されている(参考文献10-6-2).この結果より,BMI35未満の肥満症における減量目標は,3~6カ月で現体重から3%と設定され,2 kg程度の減量であっても健康障害の軽減が期待できる.BMI35以上の高度肥満症患者では,病態に応じて現体重から5~10%の減量を目標とする.日本肥満学会から示されている「肥満症治療指針」を参考にする.
 患者自身が問題となる食行動や生活習慣を認識し,個々人にあった食事療法や運動療法に取り組むことが,減量した体重を維持するために必要である.
 減量とともに骨格筋量が減少することを防ぐために,運動療法は無理なく体調に合わせて習慣的に行うことが有用である.そのため,レジスタンストレーニングを取り入れることも検討する.減量する際には,体重の評価だけではなく,可能であれば定期的に体組成分析を行い,骨格筋量の評価を行う.

■栄養管理

 食事療法は肥満症治療の基本である.体重減少のためには,摂取エネルギーを消費エネルギーよりも少なくする必要がある.誤った食行動や生活習慣,食嗜好を是正し,栄養素のバランスがよい,減量が可能な食事量にする.食事の目標摂取エネルギー量および栄養素のバランスは,表1(参考文献10-6-1)を参考に設定する.
 各栄養素の設定は,これまでの個々人の習慣や嗜好によって調整することができる.

① タンパク質
 体タンパクの異化亢進を起こさないために,タンパク質は1 g×標準体重kg/日は必要である.
高タンパク質の食事を長期間摂取する安全性は確認されていないため,タンパク質のエネルギー比率は20%を超えないように注意する.

② 脂質
 動脈硬化性疾患を予防するために,脂肪摂取は,脂質のエネルギー比率を20~25%にすることが推奨されている(参考文献10-6-3).ただし必須脂肪酸を確保するために,1日20 g以上の脂肪摂取が望ましい.

③ 糖質(炭水化物から食物繊維を除いたもの)
 短期間であれば,炭水化物のエネルギー比率を40%まで,個々人の状態に合わせて糖質制限を行うことができる(参考文献10-6-4).
 高度肥満症患者(BMI35以上)では,LCD食もしくはVLCD食が選択される.しかし1,000 kcal/日未満の食事では,タンパク質,ビタミン,ミネラルが不足しやすい.タンパク質,ビタミン,ミネラルを含み,エネルギーを低減させたフォーミュラ食(1袋がエネルギー約180 kcal,タンパク質約25 g,ビタミン,ミネラル,微量元素を含んだ粉末状の食品)を利用することは有用である.
 長年築いてきた食行動生活習慣,食嗜好から行動変容を起こし,新たに適正な食習慣を一時的に獲得できても,リバウンドを防ぎ長期間減量を維持することは困難であることが多い.患者の気持ちに寄り添った行動療法をとり入れることで,患者が自己管理できるようにする.

表Ⅰ

(文献10-6-1をもとに作成)


 しかし,内科的治療を継続しても十分な効果が得られず,肥満による健康障害が改善しない場合には,肥満外科療法が検討される

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