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キーワードでわかる臨床栄養

第2章栄養素とその代謝

2-4:コレステロール[cholesterol]

コレステロール[cholesterol]
 コレステロールは,細胞膜の構成成分であるとともに,胆汁酸ステロイドホルモンの材料であり,生体に不可欠な物質である.
 体内で必要なコレステロールは,食物中のコレステロールが小腸から吸収されるほか,合成によって供給される.体内のすべての細胞がコレステロール合成能をもつが,主には肝臓において,アセチルCoAを出発材料として合成される.コレステロールの合成は,3-ヒドロキシ-3-メチルグルタリルCoA(HMG-CoA),メバロン酸,イソプレノイド,スクアレンの生成を経て,20数段階を経て行われる(図9).HMG-CoAからメバロン酸への変換を触媒するHMG-CoAレダクターゼ(HMG-CoA還元酵素)は,コレステロール生合成の律速酵素である.コレステロールの生合成は,その代謝物であるメバロン酸やコレステロールによりフィードバック調節を受ける.食事由来のコレステロールが細胞内に増加したときにもHMG-CoAレダクターゼの活性は阻害され,コレステロールの生合成は抑制される.薬剤のスタチンはHMG-CoAレダクターゼの阻害剤として,コレステロールの生合成を抑制するために,高コレステロール血症の治療薬として利用されている.
図9
図9●コレステロールの生合成の流れ

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