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第12章在宅栄養管理

12-3:在宅での経腸栄養法・静脈栄養法

■在宅における栄養投与経路

 はじめに,在宅における栄養投与経路の状況について,滋賀県を例に解説する.滋賀県では,推進施設を中心にサテライト施設(長期療養型施設・診療所・訪問看護ステーション・グループホームなど)との関連を密とし,胃瘻患者管理の質的向上(食べるためのPEG含め)を図り,一括管理することで緊急時に対応可能な組織づくりを目標として,滋賀PEGケアネットワークが2004年に発足された.このネットワークでは,2011年と2017年に,在宅と老人福祉施設での栄養投与経路についてのアンケート調査を行った(図Ⅰ).2011年から2017年で経口摂取が減り,2011年に9.52%であった人工的水分・栄養補給法(artificial hydration and nutrition:AHN)が2017年は11.33%に増加していた.しかし,胃瘻は7.80%から6.46%に減った.つまり,AHNが増えているのにもかかわらず胃瘻が減っていた.その分,経鼻胃管が増え,若干静脈栄養も増えた.このように本来は胃瘻にするべき人が経鼻胃管になっていたり,腸が安全に使えるのに生理的ではない方法を選択されるという状況は,滋賀県に限らず起こっていると考えられる.

図Ⅰ●2011年・2017年の栄養投与経路の比較

図Ⅰ●2011年・2017年の栄養投与経路の比較

 また,大津市の訪問看護ステーションにおいても,4年前から年に1回,栄養投与経路についてのアンケートを行っている.2018年は,前年まで増えてきていた胃瘻が減少に転じ,経鼻胃管が著増していた.2018年に経管栄養患者(113人)を対象に何らかの抑制の有無について質問したところ,抑制がある患者は20.4%となっていた.内訳を見ると経鼻胃管患者において83.3%に抑制がみられ,胃瘻患者において抑制がある人は2.3%であった.
 また,経口摂取を併用することも非常に重要であり,経口併用の患者も少しずつ増えてきている.経口併用の経管栄養ルートでは胃瘻が大半を占めており,腸瘻の患者が1人,経鼻胃管の患者は1人もいなかった.つまり胃瘻患者の方が高いQOLを維持したまま在宅で過ごせていることが示される結果であった.
  経腸栄養剤の形態は,ラコール®NF配合経腸用半固形剤が上市されたこともあり,2015年,2016年,2017年と少しずつ半固形が増えてきていたが,2018年は経鼻胃管が増えたことで減少に転じている.

■ 摂食嚥下機能のレベルと栄養投与ルートの選択(参考文献12-3-1)

 摂食嚥下機能のどのレベルでどの栄養投与ルートを選択し,開始・減量するかは明確にされていない.患者ごとにオーダーメイドでというと聞こえはよいが,現状は,医療者の都合や家族の都合になってしまっているのではないかと懸念される.
栄養投与ルートを決定するうえで重要となる具体的な指標は唾液誤嚥の有無である.本来,誤嚥しやすい形態は,食物(固形)よりも唾液(0.5%とろみ水)のような水分であり,食物誤嚥が重症化して唾液誤嚥になるのではない.唾液誤嚥が生じることは患者の意識レベルが低下し,嚥下反射レベルが低下することを意味していると考える.意識レベルが低下しているなかで経管栄養を行うことは,唾液量の増加につながり,誤嚥性肺炎をきたすことにもつながる可能性がある.
  超高齢者,認知症患者,人生の最終段階を迎えようとしている患者にAHNを導入するべきかどうかといった倫理的な問題は,栄養療法を行ううえで避けて通ることができない重要な課題である.栄養(食)は人間にとって命の源である.キュアよりもケアを重視する在宅療養では,患者の望む目標をサポートするためのAHNであることが重要である.「生きている(命)ためのAHNではなく,生きていく(生活)ためのAHN」であれば,患者のQOLを向上させることにもつながり,人生の最終段階においても平安な生活を過ごすことにつながる.
 重要なことは,人生の最終段階ではない患者にAHNを導入しないことで人生の最終段階に誘導してしまったり,人生の最終段階の最重度の唾液誤嚥の患者にAHNを導入してQOLの低い人生を過ごさせてしまうことのないようにすることである.例えば唾液誤嚥の状態において積極的なAHNをすることを望むのであれば,AHNよりも先に,嚥下機能改善手術や気管食道分離術を考慮することも選択肢となる.

■ 在宅栄養療法とそれにかかわる診療報酬

  経口摂取では必要量の栄養を摂取することができない患者が,家庭・社会復帰を実現する方法として在宅栄養療法がある.これにより入院患者を減らし,在院日数を短縮するという病院側のメリットはあるが,あくまで患者や家族自身が希望したうえでの家庭・社会復帰である.
 在宅栄養療法には在宅経腸栄養法(home enteral nutrition:HEN)と在宅静脈栄養法(home parenteral nutrition:HPN)があり,HENは1988年より医療保険適用が開始された.当初は適応疾患が限られ,都道府県知事への届出が必要であったが,1992年に在宅成分栄養経管栄養法と名称変更され,1994年からは適応疾患の制約が撤廃されて届出も必要なくなった.しかし,この在宅成分栄養経管栄養法指導管理料を算定できる栄養剤はツインライン®NF,エレンタール®,エレンタール®Pの3種類の経腸栄養剤のみで,他の経腸栄養剤を使用する場合は,在宅寝たきり患者処置指導管理料などとして算定される.したがって,在宅経管栄養法に対しての指導管理料や材料費などは算定できないのが現状である.これにより,十分な管理ができていないケースや,医療材料の提供が滞ってしまうことが危惧されていた.そのようななか,2018年度の改定にて在宅半固形栄養経管栄養法指導管理料が新設され,期待が寄せられている.
  HPNは1985年に主として小腸機能不全患者に対して保険適用となった.その後,1992年に悪性疾患が適応に含まれ,1994年には疾患を問わず医師が必要と認めたものなら保険適用となった.これにより,末期がん患者を在宅に移行できるようになり,HPN症例が増加している.HPNでは,在宅中心静脈栄養法指導管理料の他,材料費算定やポンプ加算などが可能である.管理者は医療材料を十分に提供し,カテーテルに関連した感染を最小限に留めるようにすることが重要である.HENにおいてもHPNにおいても目標をもって導入し,看護師,薬剤師,栄養士,セラピストと協働してサポートしていくことが必要である.
 また,療養病棟入院基本料は,医療区分と日常生活動作(ADL)区分によって設定されている.胃瘻患者は,従来であれば医療区分1,発熱または嘔吐を伴う胃瘻患者や,喀痰吸引が1日8回以上の場合のみ,医療区分2となる.一方,静脈栄養における,24時間末梢持続点滴と中心静脈栄養(total parenteral nutrition:TPN)は医療区分3である.いずれも,医師・看護師の行う医療行為であるが,区分が異なる. 表Ⅰに,在宅での栄養療法にまつわる診療報酬を列挙する.

表Ⅰ

(参考文献12-3-2,12-3-3をもとに作成)

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