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キーワードでわかる臨床栄養

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第1章栄養障害と栄養療法

1-2:栄養不良が引き起こす問題

■はじめに

 過栄養は脳卒中や心血管疾患で突然死を引き起こす,あるいは後遺症が残る,糖尿病で腎不全になるなどのリスクはあるが,過栄養そのものは,太りすぎで手術がしにくい,術後高血糖,肺梗塞,無気肺などになるリスクが高い程度であり,肥満のみが原因で,すなわち太りすぎただけで死ぬことはまずない.余分なエネルギーを蓄えているので,入院や手術を契機に体重が減ると,腰痛や膝痛が軽減したり,糖尿病が改善することさえある.
 一方で栄養不良はやせ細るだけでなく,侵襲に対するエネルギーの備蓄がないことと免疫能も低下していることから,過栄養よりも危険なことが多い.栄養不良状態では感染症に罹患しやすく,創傷治癒も遷延する.免疫担当細胞もエネルギー不足で感染抵抗力が弱まっている.
 創傷治癒には肉芽の増殖などが必要であるが肉芽組織もタンパク合成でつくられるので,エネルギーやタンパク質が不足していると創傷はなかなか治らない.ゆえに栄養不良患者は術後合併症を発生しやすく,創傷や疾患が治りにくい.るい痩(痩せ)による皮膚の脆弱化や皮下組織の菲薄化と骨突出もあるので褥瘡もできやすい.
 栄養不良による合併症により在院日数が長くなれば,医療費も増加し,患者の社会復帰も遅れる.

■栄養不良と感染

 栄養不良が高度になると,骨格筋タンパクは分解して消費され,骨格筋タンパクに多く含まれる分岐鎖アミノ酸のバリン,ロイシン,イソロイシンも消費されて低下する.さらにタンパク合成能も低下するので,血漿タンパクのアルブミンや免疫機能に重要なタンパクのグロブリン,さらにグルタミン,アルギニンなどの免疫機能に関与するアミノ酸も低下する.感染防御に重要な末梢リンパ球数も減少する.
 グルタミンは腸管免疫能に大事な小腸粘膜の維持に必要なアミノ酸であるため,グルタミンの欠乏は腸管免疫能を低下させる.
 このような免疫能の低下により術後肺炎や創感染などの感染性合併症を起こしやすくなる.消化器がん患者の術後合併症に関しては,縫合不全の原因は手術手技上の問題によることが多いが,術後肺炎などの感染性の合併症は術前栄養不良患者でリスクが高い(参考文献1-2-1).
 栄養不良患者は抗がん薬によるがん化学療法や放射線治療を行う際にも感染症になりやすいので,がん治療にも支障をきたす.

■栄養不足と栄養不良

 独居高齢者が動けなくなって発見されたケースや,精神疾患で長期に摂食していなかった場合,虐待などは別として,現代の日本社会で暮らしていて食べられないことが原因で栄養不良になることはまずない.
 実際の栄養不足は,病気での入院中や,経口摂取ができない病状での在宅療養の患者に対し,適切な栄養補給が行われない場合に起こることも多い.大きな手術や外傷などでは,高度侵襲の影響で身体成分の消費が起こり,さらにストレスホルモンやサイトカインの分泌亢進で,より多くのエネルギーが必要となる.加えて高度侵襲下の病態では絶食または経口摂取が不十分な状態であることが多い.ゆえに静脈栄養経腸栄養で必要十分な栄養補給が行われなければ,栄養不良となり回復ができない,あるいは合併症が発生するなどの予後不良状態になりうる.
 脳卒中後遺症などで経口摂取が不能な場合は,胃瘻などからの経管経腸栄養が長期になることがあり,在宅療養となるケースも多い.必要十分な量と内容の栄養が投与されなければ,徐々に栄養不良状態となる.特に長期の栄養管理においては,各種必須栄養素の欠乏症による栄養障害には注意が必要である.

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