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第5章栄養状態の評価

5-2:身体計測

■身体計測の意義

 体組成変化は栄養障害の重要な指標である.体組成は脂肪・除脂肪量(体細胞成分,細胞内水分を含む)・細胞外水分・骨などにより構成されている(図Ⅰ)(参考文献5-2-1),(参考文献5-2-2).脂肪の増加は冠動脈疾患や糖尿病のリスクを増加させうるし,逆に体細胞成分(骨格筋)の減少は低栄養を示唆する所見である.身体計測はこのような体組成の変化を評価するための最も簡便な手法であり,臨床現場にも広く普及している.身体計測の長所は簡便・安価・非侵襲的である点で,栄養専門職の数が少なく侵襲的検査の実施が困難な状況(在宅など)においては有力な選択肢となる.一方で測定者間・測定者内の誤差が大きいこと,一部の検査では測定スキルを要することが短所である(参考文献5-2-3).

図Ⅰ●体構成成分

図Ⅰ●体構成成分
(文献5-2-2より引用)

図Ⅱ●石原法による身長測定

図Ⅱ●石原法による身長測定
(文献5-2-6より引用)

 最も基本的な身体計測値は身長と体重である.身長は身長計あるいはメジャーで測定するが,測定が困難な場合(円背や起立不可の場合)は石原法(参考文献5-2-4),(参考文献5-2-5)や膝高(knee height:KH)からの推定式(参考文献5-2-6)を用いて算出可能である(図Ⅱ).体重は校正ずみ体重計を用いて測定することが望ましい.測定可能の場合は身長,体重からBMI(body mass index)を算出する〔体重(kg)÷身長(m)2〕.また理想体重(ideal body weight:IBW)や通常時体重(usual body weight:UBW)も栄養障害の有無や変遷を評価できる有用な指標である.体重が測定できない場合は膝高から算出することが可能である(参考文献5-2-6).
 貯蔵エネルギー(体脂肪量)や貯蔵タンパク質(骨格筋量)の程度を推定するための身体計測法として,上腕や下腿を測定する方法がある.上腕周囲長(arm circumference:AC)は体脂肪量と骨格筋量を,上腕三頭筋部皮下脂肪厚(triceps skinfold thickness:TSF)は体脂肪量を反映する指標であり,それぞれメジャーとキャリパーを用いて測定する.この2つの値を用いて算出する上腕筋囲(arm muscle circumference:AMC),上腕筋面積(arm muscle area:AMA)はいずれも骨格筋量を反映するとされている.またTSFと同じく体脂肪量を反映する指標として肩甲骨下部皮下脂肪厚(subscapular skinfold thickness:SSF)がある.一方,メタボリックシンドロームの診断基準としても用いられる腹囲(waist circumference:WC)は脂肪量だけでなく分布(内臓脂肪の多寡)を反映する指標であり,死亡リスクとも相関する(参考文献5-2-7),(参考文献5-2-8).
 近年,高齢者を中心としてサルコペニアが問題となっており,骨格筋量の測定が普及してきている.下腿周囲長(calf circumference:CC)は四肢骨格筋量とよく相関し(参考文献5-2-9),体組成分析機などが使用できない状況において四肢骨格筋量を推定するのに有用である.また身体計測値とは異なるが,近年では握力(handgrip strength:HG)が栄養指標の1つとして考えられるようになってきている(参考文献5-2-10).握力はスメドレー式握力計を用い,直立姿勢で測定することが望ましい(参考文献5-2-11).

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