NUTRI ニュートリー株式会社

医療従事者お役立ち情報

共通言語化した基準
「学会分類」

2018年4月、診療報酬、介護報酬の改定により、「栄養管理計画書」、「リハビリテーション実施計画書」、栄養ケア・マネジメントの様式「栄養スクリーニング・アセスメント・モニタリング」の中で必要とされる嚥下調整食を学会分類のコードで表記することが必要となりました。いま、施設内の嚥下調整食がどのコードに該当するか、学会分類のコードに該当しているのか等、「学会分類」への関心が高まっています。
※本ページは、医療従事者向け情報です。

学会分類に即した基準作りのために、ニュートリーの5つのご提案

学会分類2021とは?

2013年に日本摂食嚥下リハビリテーション学会医療検討委員会によって発表され、新たな知見をもとに2021年に改訂された、嚥下調整食の食事・とろみの程度についての基準です。正式名称を「日本摂食嚥下リハビリテーション学会嚥下調整食分類2021」と言い、「学会分類2021」と略されています。

学会分類2013が作成されるまで、日本には嚥下調整食の統一基準が存在していなかったため、医療連携が進む今日の現場において、それぞれの地域や施設ごとに様々な名称や段階が混在していることが問題となっていました。そこで、病院や施設、在宅医療、福祉関係者など多くの人が使用できるよう、嚥下調整食の段階やとろみの程度を示す共通言語として「学会分類2013」が設けられました。

学会分類2013が広く使用されていることも考慮し、学会分類2021の基本的な分類構造は学会分類2013を踏襲しており、嚥下調整食の段階を示した「学会分類2021(食事)」と、嚥下調整食のとろみの程度を示した「学会分類2021(とろみ)」の2項目に分かれています。「学会分類2021(食事)」はコード0~コード4の5段階、「学会分類2021(とろみ)」は段階1~3の3段階に分類されています。

学会分類2021(とろみ)早見表と解説
学会分類2013(とろみ)早見表と解説 クリックで図を拡大

■測定条件

粘度
コーンプレート型回転粘度計(E型粘度計)を使用。
測定温度20℃、ずり速度50s-1
調整30分後、1分かけてずり速度50s-1にし、その回転数を維持して1分後の値
L S T 値
ラインスプレッドテスト用プラスチック測定板を用いて内径30mmの金属製リングに試料を20ml注入し30秒後にリングを持ち上げ、30秒後に試料の広がり距離を6点測定し、その平均値をLST値とする。
※LST値と粘度は完全には相関しない。
シリンジ法
10mlのシリンジ筒を用い、粘度測定したい液体を10mlまで入れ、10秒間自然落下させた後のシリンジ内の残留量である。

※『嚥下調整食分類2021(とろみ)早見表』を一部改変したものです。表の理解にあたっては『嚥下調整食分類2021』の本文を必ずご参照ください。

解説
「中間のとろみ」は脳卒中後の嚥下障害などで基本的にまず試されるとろみです。「薄いとろみ」は中間のとろみより嚥下障害が軽度の症例に利用され、「濃いとろみ」は重度の嚥下障害の症例に利用されます。
上記に該当しない、薄すぎるとろみや濃すぎるとろみは推奨できないとされています。
キサンタンガム系以外のとろみ調整食品を使用した場合、あるいは、ミキサーにかけた食品などでは検討を行っていないため注意が必要です。
学会分類2021 (食事)早見表
学会分類2021(食事)早見表 クリックで図を拡大

※『嚥下調整食分類2021(食事)早見表』を一部改変したものです。表の理解にあたっては『嚥下調整食分類2021』の本文を必ずご参照ください。

解説
学会分類2021(食事)では、段階がコード0からコード4の5段階で設定されており、それぞれのコードに適した形態のほか、主食についても言及されています。早見表だけで判断せず、解説文を熟読の上、活用することとされています。
嚥下調整食分類2021(食事)の形態の説明と他分類との対応
嚥下調整食分類2021(食事)と他介護食分類の対応 クリックで図を拡大

※『嚥下調整食分類2021(食事)早見表』を一部改変したものです。表の理解にあたっては『嚥下調整食分類2021』の本文を必ずご参照ください。

嚥下調整食分類2021(食事)と段階毎で必要とされる能力
嚥下調整食分類2021(食事)と段階毎で必要とされる能力 クリックで図を拡大

※『嚥下調整食分類2021(食事)早見表』を一部改変したものです。表の理解にあたっては『嚥下調整食分類2021』の本文を必ずご参照ください。

解説
学会分類2021(食事)では、段階の分類規定に物性測定値が記載されていません。しかし、対応する既存の段階的分類(嚥下食ピラミッド、特別用途食品など)の物性測定値を参考とすることができるとされています。
それぞれのコードの対象者は、食塊形成・送り込み能力を含む広義の「咀嚼能力」で判断されます。「コード=重症度」と考えず、個々の症例で適切な食形態を選択することが重要です。

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