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第10章各疾患の栄養管理

10-11:腎不全の特徴

■腎不全の特徴

 一口に腎不全といってもさまざまな病態,病相を呈するわけであるが,強調しておきたいのは,腎不全は単一臓器の機能不全にとどまらず種々の代謝異常を包含する全身性の疾患であるという点である.また,体タンパク異化が亢進した状態にあることも,ひとたびほかの合併症を併発した際の重篤化を招く誘引になりかねない.これらの代謝異常,タンパク異化亢進に配慮した栄養管理を行うことが臨床の現場では求められる.
 腎不全の定義としては,腎機能が正常の50%以下の状態を指す.日本人では血清クレアチニン(Cr)値が男性で1.5 mg/dL,女性で1.3 mg/dL以上であれば腎不全の可能性がある.24時間蓄尿によるクレアチニン・クリアランスでは,50 mL/分以下で腎不全と考えてよい.腎不全は急性腎不全と慢性腎不全に分けられる.慢性腎不全は腎代替療法に入る前の保存期と腎代替療法導入後の末期に分類される.腎代替療法には血液透析と持続的携行式腹膜透析(CAPD),腎移植がある.

■腎疾患の病態と栄養療法

 さまざまな病態を含む腎不全という大きなカテゴリーを画一的に説明することは困難である.以下では6つの腎疾患に分け,それぞれの栄養療法に対する要点のみを列挙する.腎不全については日本腎臓学会編のガイドライン(参考文献10-11-1)(表Ⅰ)注)にGFR(糸球体濾過量)によるステージ別でよくまとめられている.
注:権利関係の都合により表Ⅰは不掲載となります.書籍にてご参照ください.

A. 急性糸球体腎炎
 血尿,タンパク尿,高血圧,乏尿,浮腫などの症状が急激に出現し,乏尿期・利尿期では,タンパク質,食塩の厳しい制限が必要となる.
多くの場合,数日以内で長くても2週間程度である.回復すれば継続した栄養療法の必要はない.

B. ネフローゼ症候群
 著明なタンパク尿から起きる低タンパク血症,浮腫,脂質異常症を呈する病態で,過度にならないタンパク質量,食塩の制限を行う.
尿中に多量のタンパク排泄があるからといって,高タンパク食の適応とはならない.
尿タンパク量は摂取タンパク質量に比例すること,実験的に高タンパク食は糸球体硬化を促進すること,ある種のサイトカイン分泌を亢進させ糸球体病変を進行させる可能性があることなどの理由で,軽度のタンパク制限食がすすめられる.

C. 急性腎不全
 何らかの原因により腎機能が急激に低下し,腎臓での老廃物の排泄不全が生じて窒素代謝物の蓄積が起こる状態である.
水分摂取量と尿量,電解質,BUN,Crの値をみながら栄養管理をしていく.エネルギーやタンパク質量は重症度や基礎疾患に応じて提案.

D. 保存期慢性腎不全
 腎機能の保持と尿毒症の進行抑制をはかる.必要十分なエネルギー補給,タンパク質や食塩,カリウム,リンの制限を行う.

E. 糖尿病性腎症
 糖質制限を主体とし,タンパク質や食塩,カリウム,リンの制限を行う.

F. 末期腎不全(血液透析導入後)
 タンパク質の制限はリンの上昇がない範囲で制限を弛めてよい.水分コントロールが重要となる.

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