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キーワードでわかる臨床栄養

第8章経腸栄養法

8-1:特殊処方の栄養剤[specialized enteral formula]

■特殊処方の栄養剤[specialized enteral formula]
 疾患別の栄養剤である.

① 耐糖能異常
 高血糖時に使用される.炭水化物含量を減じ,脂肪含量を増加(熱量比:約34~50%)し,特に一価不飽和脂肪酸(オレイン酸:オリーブ油など)を強化して,高コレステロール血症を防止している.また,食物繊維を含有している.

② 呼吸器疾患用
 ARDS(acute respiratory distress syndrome:急性呼吸窮迫症候群),COPD(chronic obstructive pulmonary disease:慢性閉塞性肺疾患)やレスピレーターからの離脱に際し使用される.CO2産生を防止するために炭水化物熱量比を30%以下にして,脂肪熱量比率を55%として,特に熱効率がよい中鎖脂肪酸を含有している.エネルギー密度も1.2~1.5 kcal/mLと高く水分含量が少ない.

③ 腎不全用
 透析の有無でタンパク質摂取量が大きく異なる.非透析症例ではタンパク質摂取量は一般に0.6~0.8 g/kg体重/日であり,したがって,非タンパクカロリー/窒素比は350以上,エネルギー密度1.5 kcal/kg体重に調整されているものが使用される.電解質,特にカリウム,リン,マグネシウムや脂溶性ビタミン含有量にも注意しなくてはならない.しかし,透析症例においてはむしろ高タンパク質1.1~1.3 g/kg体重/日が必要である.そのためにアミノ酸などが添加される.

④ 代謝ストレス下用
 術後や多発外傷,熱傷などに使用される.グルタミン,アルギニン,n-3系脂肪酸,核酸などが含まれ,侵襲下の免疫能の維持,感染症の防止に効果があることが報告されている.しかし,死亡率には有意差は認められない.

⑤ 肝不全用
 肝疾患では一般に食欲不振がみられ,腹水による腹部膨満などのために食欲不振は増大する.亜鉛やマグネシウム欠乏による味覚の変化や嘔気・嘔吐もみられる.肝硬変では,分岐鎖アミノ酸(branched-chain amino acid:BCAA)であるロイシン,イソロイシン,バリンの血中濃度が低下して芳香族アミノ酸(aromatic amino acid:AAA)であるフェニルアラニン,チロシン,トリプトファンとメチオニンの濃度が上昇する.そのためにBCAAを強化した成分栄養剤が肝性脳症の治療に使われるが,これは栄養剤というよりもあくまでも肝性脳症の治療薬として使うべきである.一般の肝硬変の場合には一般処方の栄養剤を使用する.食事摂取が十分であるにもかかわらず低アルブミン血症のある症例にはBCAAだけを含むBCAA顆粒(バリン,ロイシン,イソロイシン)などが適応となる.

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