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キーワードでわかる臨床栄養

第2章栄養素とその代謝

2-7:ビタミンE[vitamin E, tocopherol]

ビタミンE[vitamin E, tocopherol]
 血清ビタミンE基準値: 0.75~1.41 mg/dL
 自然界には,ビタミンEにはトコフェロールとトコトリエノールの2つの化合物があり,それぞれ,α-,β-,γ-,σ-の4つの同族体,計8種類が存在している.食物中に含まれるものもほとんどは,α-またはγ-トコフェロールであるが,生理学的に最も重要なものはα-トコフェロールである.摂取されたビタミンEは,小腸内でミセル化され,吸収された後に,カイロミクロンに取り込まれ,血漿中に放出され,高密度リポタンパク(HDL)と結合し組織に取り込まれる経路と,カイロミクロンレムナントから肝臓に取り込まれたビタミンEは,超低密度リポタンパク(VLDL)によって血漿中に放出され,低密度リポタンパク(LDL),HDLなどとともに末梢組織へα-トコフェロールを供給している.
 ビタミンEは,細胞内で抗酸化物質として重要な役割をはたしており,活性酸素やフリーラジカルに対する防御機能を有している.
 欠乏症は,一般的に存在しないが,α-トコフェロールトランスファープロテイン(α-TTP)遺伝子変異患者では,ビタミンE単独欠乏性運動失調症(ataxia with vitamin E deficiency:AVED)を生じる.一方,過剰症では,α-トコフェロールを低出生体重児に補充投与した場合,出血傾向が上昇することが報告されている.

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