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キーワードでわかる臨床栄養

第1章栄養障害と栄養療法

1-4:運動療法[exercise]

運動療法[exercise]
 運動療法には有酸素運動と筋力(レジスタンス)トレーニングがある.有酸素運動には,速歩,ジョギング,サイクリング,水泳などがあり,持久力を向上させるとともに脂肪をエネルギー源として消費するので,肥満治療に適している.最近は心筋梗塞後の心臓リハビリテーションにも運動療法が行われる.脂質異常症には有酸素運動を毎日30分以上続けることが勧められている.
 骨格筋量の増加はエネルギー消費量を増やし,糖尿病患者の骨格筋でのインスリン抵抗性も改善させる.
 運動習慣のある人は動脈硬化になりにくく,有酸素運動は脂肪を燃焼させて体重を減らすのでメタボリックシンドロームの治療に適している.継続しないと効果が出ないので,肥満体でも膝や腰に負担のかからない水中歩行などが続けやすい.1日に30~60分程度で週3~5日の中等強度(汗はかくが会話はできる程度)の運動が推奨されている.
 仕事に追われる年代で運動する時間が確保できないケースも多い.通勤や仕事で移動の際はなるべく車を使わずに歩く.エレベーターやエスカレーターに乗らず階段を使うなどを心掛けるだけでもかなり違う.
 運動療法が効率的な例として非アルコール性脂肪性肝疾患は,非飲酒者に内臓脂肪蓄積で発生した代謝異常で,肝臓に脂肪が過剰沈着した脂肪肝の状態であり,生活習慣の欧米化によって年々増加している.運動療法によるエネルギー消費と,脂肪の燃焼による脂肪組織の減少,筋肉での脂肪酸の取り込みの増大は,脂肪肝の改善に有効である(参考文献1-4-2).

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