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キーワードでわかる臨床栄養

第10章各疾患の栄養管理

10-16:がん治療による口内炎[stomatitis]

がん治療による口内炎[stomatitis]
 がん治療による口内炎はしばしば認める有害事象であるが,厳密には先に述べた頭頸部がんにおける放射線治療の副作用としてとり上げた口腔粘膜炎との鑑別を要する.口腔粘膜炎は抗がん剤の場合,下口唇,舌側面,頬粘膜に好発し,投与後7~14日に生じることが多い.放射線治療の場合は照射野に一致して生じ,30~40 Gy以上から潰瘍形成を伴う.一方で,通常の口内炎はアフタ様口内炎とよばれ,機序は不明とされるが口唇の裏に生じることが多く,食事などの摂取時に痛みを伴い「しみる」ことが多い.その他,分子標的薬であるmTOR阻害薬ではそれに関連する口内炎(mTOR inhibitor-associated stomatitis:mIAS)が知られており,40~70%と高頻度に発症する.アフタ様口内炎と同様の対症療法が主体であり,貼付剤やステロイド軟膏の塗布が有効とされる.免疫低下に伴うヘルペス性口内炎,カンジダ性口内炎などの鑑別も要することがある.これらの口内炎には,抗ウイルス薬や抗真菌薬が有効であり,ステロイド軟膏は無効であり,時に増悪させるので注意を要する.これらの口内炎・口腔粘膜炎に対する支持療法としては適切な口腔ケアが最も重要とされ,栄養介入により改善するというエビデンスは乏しい.しかし,食事の面からは口腔粘膜の刺激が強いもの(柑橘系や酢,香辛料,熱いもの,硬いもの)は避け,嚥下機能を考慮した食事形態などを検討する.

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