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キーワードでわかる臨床栄養

第4章栄養と免疫,および生体防御機構

4-2:粘膜免疫循環帰巣経路(CMIS)[common mucosal immune system]

粘膜免疫循環帰巣経路(CMIS)[common mucosal immune system]
 分泌型IgA抗体を形成するにあたって,腸管に存在するパイエル板に代表される「誘導組織」と粘膜固有層に代表される「実行組織」を結んでいる経路があるという概念を粘膜免疫循環帰巣経路(CMIS)という.M細胞を介して流入した抗原が提示され,パイエル板に取り込まれたのち樹状細胞により認識,処理,提示され免疫応答が開始される.
 パイエル板の濾胞域とその中心部の胚中心に認めるB細胞領域は,未熟なB細胞がIgA産生形質細胞の前駆細胞であるIgA前駆B細胞に分化・成熟する場である.B細胞領域で生み出されたIgA前駆B細胞はパイエル板で樹状細胞により抗原感作を受けると,同じく抗原感作を受けた CD4+T細胞,CD8+T細胞とともに腸間膜リンパ節へと移動し,その後胸管を介して血流に到達する.これらの活性化リンパ球はインテグリンα4β7や,ケモカイン受容体CCR9,CCR10を細胞表面に発現しており,腸管粘膜固有層に代表される粘膜実行組織に発現する標的分子のMAdCAM-1,TECK(CCL25),MEC(CCL28)をめざして選択的に移動(ホーミング)する.その結果,IgA前駆B細胞はIgA産生形質細胞に最終分化する.
 IgA前駆B細胞の活性化・クローン性増殖およびIgA産生形質細胞への選択的最終分化においては,Th1細胞によって産生されるIL-2,Th2細胞によって産生されるIL-5,IL-6,IL-10がIgA誘導サイトカインとして重要である.粘膜実行組織はこれらのサイトカインを供給配備することでIgA産生形質細胞の発生に適した環境を整えている.このように粘膜実行組織においては,パイエル板由来CD4+T細胞,IgA前駆B細胞,上皮細胞からなる腸管イントラネットが協調的に作用しあい,粘膜における分泌型IgA抗体反応の誘導が実現されている(参考文献4-2-7).

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