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    第1章栄養障害と栄養療法

    1-4:筋力(レジスタンス)トレーニング[resistance exercise]

    筋力(レジスタンス)トレーニング[resistance exercise]
     筋力や筋肉量の向上にはレジスタンストレーニング,いわゆる筋トレが必要である.筋トレは負荷が強いほど効果的であるが,サルコペニアやフレイルの高齢者に若者と同じような筋トレは,筋肉や腱などの損傷や圧迫骨折,疲労骨折などのリスクが高い.サルコペニアにならないように中高年の時期から筋トレをして筋肉を鍛えておくことが重要である.
    表2
     サルコペニアでは,特に下肢の筋力低下と筋萎縮が,歩行能力の低下と転倒のリスクの要因となる.スクワットや座位からの立ち座りなど,器具を使わない自体重のみの負荷での下肢の屈伸運動が比較的安全で場所を選ばないので長続きする.筋トレで筋肉をつけるには十分なエネルギーに加えて,特にタンパク質をしっかりと摂取する必要がある.
     分岐鎖アミノ酸(BCAA)は骨格筋に多く含まれ,筋タンパク合成の促進と分解の抑制作用がある(表2).筋肉に優先的に取り込まれ,筋肉で代謝されてエネルギーを産生する.侵襲時には骨格筋の分解が亢進するが,BCAAを補給することで骨格筋の分解を抑制する(参考文献1-4-3).BCAAのなかでも特にロイシンが有効とされている.運動前にBCAAを摂取すると持久力の指標が改善して,運動パフォーマンスも維持しやすい(参考文献1-4-4).
     臨床での例として肝硬変患者では低タンパク血症と筋肉量の減少がみられる.タンパク栄養障害が進行している状態でトレーニングを行うと,さらに筋肉を消費して肝硬変が増悪するので,負荷の少ないリハビリテーションと就寝前補食療法としてにBCAA顆粒製剤の内服などが勧められる(参考文献1-4-2)10-14:就寝前補食療法(LES)[late evening snack](https://www.nutri.co.jp/nutrition/keywords/ch10-14/keyword3/).BCAAはまた芳香族アミノ酸と競合して芳香族アミノ酸の脳内移行を抑制し,肝性脳症の改善効果をもたらす.
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