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    第12章在宅栄養管理

    12-1:人生の最終段階の身体の徴候と栄養

    人生の最終段階の身体の徴候と栄養
     在宅療養においては,人生の最終段階について熟知しておく必要がある.人生の最終段階は一般的には治る見込みがない病気やけがの状態で死が迫っている場合とされる.日本尊厳死協会では高度の意識障害(植物状態)が長期間(3カ月以上)続く場合も人生の最終段階として定義に加えている.

    ① 余命1カ月
     人生の最終段階には栄養療法(キュア)ではなく,栄養ケアを重視する必要がある.余命1カ月になると食事量が一層減少し,摂食嚥下機能が低下して,誤嚥によりむせることが多くなる.この際に,食べないと弱ってしまうと考え,無理に食べさせることは患者にとって苦痛となる.食べたいものを,食べたいときに少しずつ食べることが重要であり,ゼリーやとろみのついたものが食べやすく,水分はアイスや氷のかけら,ゼリータイプの経口補水液も効果的である.場合により水分補給目的に末梢静脈栄養を行うこともある.
     機能的口腔ケアは可能な限り行い,体調のよいときに食べられる状態を保つことが重要である.誤嚥しても肺炎になりにくい環境にしておくことが望ましい.食事量が低下することで,排便・排尿は減少する.筋肉の異化が進み,身体に力が入らなくなり,失禁してしまうこともある.このために,経口摂取を自主的に控える人も少なくない.

    ② 余命数週間
     食べる体力だけではなく,消化吸収機能が低下するため,嘔吐や下痢も起こることがある.濡らしたガーゼや綿棒,小さな氷のかけらで口を湿らせるなど,患者にとって心地よい口腔環境を保つことが重要である.唾液さえも誤嚥してしまう可能性のあるレベルであり,注意が必要である.

    ③ 余命数日・直前
     衰弱し反応ができなくなる.死期が迫った患者の半数では死前喘鳴が出現する.ここでの無理な吸痰は,心地よく眠っている状態を覚醒させてしまうことになり,患者の苦痛になってしまうこともある.痰の吸引をして苦痛を与えて無理に覚醒させたり,点滴で必要以上の水分を入れ続けたり,せん妄に対して薬で抑えようとしたりすることにより,自然な徴候をわかりにくくしてしまうことは避けなくてはならない.

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