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キーワードでわかる臨床栄養

第11章高齢者の栄養管理

11-3:DLBの食の課題[challenges in eating behavior in DLB]

■DLBの食の課題[challenges in eating behavior in DLB]
 DLBでは中枢神経系,特に大脳皮質を中心にレビー小体が出現した結果,うつ,幻視や認知機能の変動,パーキンソン症状,睡眠時の異常行動(レム睡眠異常),自律神経症状(起立性低血圧や失禁,便秘に代表される)などの症状が起こる.特に抗精神病薬の副作用も出やすいことに留意する.また見当識障害や記憶障害が少ない時期でも,後頭葉の視覚野障害などから幻視や誤認,さらには幻聴,体感幻覚が起こる(参考文献11-3-7).食事中の幻視が食欲低下につながる例も報告される.ADよりも比較的早期に重篤な摂食嚥下障害が出現し,錐体外路症状により上肢や口腔咽頭の協調運動が障害され,さらに嚥下反射や喀出反射が障害されて嚥下障害が深刻になる(参考文献11-3-8).食前のタイミングでドーパミン補充療法を行うと食事に有効であるが,食事中の認知機能の変動による嚥下反射や喀出反射の低下には留意が必要である.ドーパミン補充療法の長期間使用によって出現するWearing-off現象と認知機能の変動が混在すると,日内変動はより複雑になる.またDLBでは自律神経症状により便秘が生じやすく腸管吸収薬であるドーパミン製剤の吸収に影響が出るため,早期から便秘対策が必要である.

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