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キーワードでわかる臨床栄養

第10章各疾患の栄養管理

10-15:慢性閉塞性肺疾患(COPD)[chronic obstructive pulmonary disease]

慢性閉塞性肺疾患(COPD)[chronic obstructive pulmonary disease]
 わが国の疫学調査では40歳以上の日本人における有病率は8.6%,約530万人が罹患していると推測されており,今後も増加が予測されている(参考文献10-15-12).最近,患者の高齢化が顕著となってきている.

① 定義と発症要因
 タバコ煙を主とする有害物質を長期に吸入曝露することなどにより生ずる肺疾患であり,呼吸機能検査で気流閉塞を示す.気流閉塞は末梢気道病変と気腫病変がさまざまな割合で複合的に関与して起こる(参考文献10-15-2).喫煙は最も重要な危険因子であるが,室内外の大気汚染の関与も示唆されている.COPDを発症するのは喫煙者の一部であることから喫煙感受性を規定する遺伝的素因の存在が考えられている.また,低出生体重や小児期の肺炎などによる肺の発育低下も危険因子とされている.

② 症状および診断
 労作時呼吸困難,喀痰,咳嗽が主症状であり喘鳴を伴うこともある.長期の喫煙歴などの曝露因子があり,呼吸機能検査で気管支拡張薬吸入後の1秒率(1秒量の努力肺活量に対する比率)が70%未満の閉塞性換気障害がみられ,胸部X線写真などによって他の気流閉塞をきたしうる疾患を除外できればCOPDと診断できる(参考文献10-15-2).

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