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キーワードでわかる臨床栄養

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第1章栄養障害と栄養療法

1-1:栄養不良と過栄養

■はじめに

 栄養不良は栄養不足による低栄養状態で,栄養障害ともいう.必要量よりも栄養摂取量が少ないとしだいに栄養不良になる.必要量は年齢,性別,体格などに関係する基礎エネルギー消費量や,活動量やストレスによって異なる.感染症や外傷,手術などのストレス(侵襲)があると,消費量が増えることにより必要量も増えるので,相対的に供給量が不足して栄養不良になりやすい.近年の高齢化社会においては,特に筋肉量の減少がサルコペニアとよばれ,日常生活の障害要因として問題となっている.
 過栄養による肥満は,糖尿病,脂質異常症(高脂血症),高血圧症の原因となり,これらはメタボリックシンドロームとよばれ,動脈硬化,特に心血管障害の重大なリスク因子である.

栄養不良と原因

 栄養は健常時には経口的に摂取する.食事の量や内容が不足すると栄養不良になる.食料が不足する原因としては,発展途上国における紛争,飢饉などがあるが,現代の日本では虐待や,孤立した独居の高齢者などが問題となる.
 臨床では,①食物の経口摂取困難,②消化管の通過障害,③消化吸収障害,④悪性腫瘍や代謝異常,⑤高度侵襲,⑥医原性などが栄養不良の原因となる(表Ⅰ).
 食料があっても食べられない原因には,認知症,神経性食欲不振症候群などの精神疾患があげられ,そもそも食物を口に入れないケースがある.意識障害患者は当然ながら経口摂取はできない.口に入れても咀嚼や嚥下機能に障害のある場合も食べることができない.嚥下障害の原因としては,脳血管障害や頭部外傷とその後遺症,神経筋疾患がある.
 

表1

 口から肛門までの消化管のどこかに通過障害があると,食物が通らないので栄養摂取ができない.通過障害の原因としてはがんなどの腫瘍による閉塞がある.腫瘍は徐々に大きくなるので,通過障害も徐々に出現する.食道はもともと細いことと,食物がまだ固まりで通ることから,食道がんでは食物がつかえたり嚥下困難が生じる.このため食道がんや噴門部がんが進行すると栄養障害になりやすい.アカラシアや逆流性食道炎も重症になると,食道狭窄から通過障害をきたす.
 胃は内腔が広いが幽門の部位は狭いので,幽門付近のがんや十二指腸潰瘍の瘢痕狭窄などで通過障害をきたすと,胃の内容物が排出しにくくなり,胃の膨満や嘔気・嘔吐が生じるので,しだいに食べられなくなる.
 大腸がんは近年増えているが,上部消化管がんに較べると栄養不良患者は少ない.大腸の内容物は液状から泥状であり,S状結腸や直腸に至って固形便になる.ゆえにかなり内腔が狭くなって,腸閉塞のような状態にならない限り経口摂取量は減らない.
 上腸間膜動脈血栓症や絞扼性イレウス,腹部外傷による腸管損傷などで小腸を大量切除した短腸症候群や重症のクローン病では,消化吸収障害から栄養不良になりやすい.
 悪性腫瘍の末期にはがん性悪液質という代謝異常状態になり,強制栄養を行っても栄養状態は改善せずに栄養不良に至る.肝硬変の末期にも肝臓での栄養素の代謝ができなくなるので栄養不良になる.
 外傷や手術と感染症は特に重症では高度侵襲になり,多くのストレスホルモンやサイトカインも分泌される.侵襲に耐えて回復するためには大量のエネルギーを必要とする.損傷部位の修復にはタンパク合成が必要であり,体脂肪や骨格筋を分解してエネルギー源として利用する.高度侵襲下では需要に匹敵する栄養供給は困難であり,エネルギー需要の増大と体脂肪・体タンパクの分解の亢進は栄養状態を低下させる.
 入院治療中に栄養摂取が不足しているにもかかわらず,適切な栄養投与ができていないことが少なからずあり,長期間になると医原性の栄養不良となる.

■過栄養と原因

 栄養状態は,消費量に比して摂取量が適切であれば恒常性を保ち,少なければ低下して低栄養になり,過剰であれば過栄養となる.過栄養も低栄養も身体の機能維持には不都合であり,長期間にわたるほど何らかの健康障害を引き起こす.特に日本人は欧米人よりも肥満によって糖尿病などになりやすい.高齢者は低栄養が多いとされるが,食生活の欧米化と車社会における運動不足などの社会的要因で,肥満,メタボリックシンドロームなどの過栄養も見受けられるようになってきた.
 肥満や糖尿病は最近の30年で急激に増加しているが,昭和30年代と最近の日本人の1日の摂取総エネルギー量はほとんど変わっていない.しかし,食事の内容は,かつては米飯と,芋,豆などの食物繊維の豊富な野菜類,青魚などが多かったのに対して,近年は清涼飲料水,菓子,果物などの単純糖質を多く含む甘いものや,動物性脂肪の摂取割合が多くなっている.
 昔は地方の交通手段が徒歩や自転車であったが,今はすぐ近くに行くにも自動車で移動するのに加えて,地方でも食生活が欧米化しているので,肥満が増えていると考えられる.

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