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第7章経口栄養療法

7-6:スマイルケア食[smile care foods]

スマイルケア食[smile care foods]
 スマイルケア食とは,農林水産省が整備した介護食品の新たな枠組みの愛称である.
農林水産省は,現状の介護食品を「噛むこと・飲み込むことに問題はないものの,健康を維持するうえで栄養補給を必要とする方向けの食品」,「噛むことに問題がある方向けの食品」,「飲み込むことに問題がある方向けの食品」の3つに再整理し,介護食品を選ぶ際の参考となるよう順に青・黄・赤のマークを設けた.青マークは平成28年2月より,黄マークと赤マークは平成28年11月より運用が開始されており,令和元年10月現在で,青マーク商品は163品目,黄マーク商品は2品目,赤マーク商品は13品目が販売されている.青マークは「自己適合宣言」により,事業者らがエネルギーおよびタンパク質の量が基準を満たしていることを宣言する必要がある.黄マークを表示するには,新たに制定された「そしゃく配慮食品の日本農林規格」のJASマークを付けることが条件となる.
 赤マークの食品は,特別用途食品であるえん下困難者用食品に限定されており,赤0は許可基準Ⅰ,赤1は許可基準Ⅱ,赤2は許可基準Ⅲの表示がされていることが条件であり(表2),すでに両方のマークを付けた商品が販売されはじめている(図1).


表1●UDF の選び方(区分表)
図 ※ 「ゾル」とは,液体,もしくは固形物が液体中に分散しており,流動性を有する状態をいう.
「ゲル」とは,ゾルが流動性を失いゼリー状に固まった状態をいう.
(日本介護食品協議会より提供)


表2

(文献7-6-3より引用)

今後,えん下困難者用食品を含む特別用途食品の認知度向上と普及拡大に貢献することが期待できる.
加えて農林水産省は,図2のようなスマイルケア食の選び方の図を用いてスマイルケア食の普及拡大にも取り組んでいる.
  マークの番号については,嚥下調整食分類2013との整合性を考えて,嚥下調整食0j,1j,2-1に合わせて赤0,赤1,赤2とし,さらに嚥下調整食2-2,3,4に合わせて黄2,黄3,黄4とし,常食に近くて容易にかめる食品は黄5になったと推測される.
このように,赤と黄マークは嚥下と咀嚼機能の程度に応じて番号分けされているが,青マークは咀嚼や嚥下機能に問題がない高齢者の低栄養予防が主目的であるため,番号分けはされていない. 図1

図1●えん下困難者用食品の表示とスマイルケア食・赤マークを付けた商品

図2

図2●スマイルケア食の分類と選び方
色だけではなく形からも各マークを識別できるようになっている
(文献7-6-4より引用)

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