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第6章経腸栄養法

6-3:Immunonutrition

■1 Immunonutrition
 Immunonutritionとはimmune(免疫)とnutrition(栄養)の造語で、免疫栄養という意味になる。免疫能を高める作用をもった栄養素を投与して宿主の免疫系を賦活化しようとする試みをimmunonutritionと定義することができる。そしてこのような栄養素が強化された栄養剤をimmune enhancing diet(IED)ともいう。主に外科手術患者やICU患者の臨床的転帰を改善する目的で行われてきた。このようなストレス状態の患者においては免疫能が低下していることが報告されている。免疫系を賦活化する栄養素としてはアルギニングルタミンn-3系脂肪酸核酸などがあり、これらがIEDの成分として強化されている。IEDに含まれるこれらの栄養素の種類と比率は市販されている製品間で大きく異なっている。
■2 Immunonutritionの効果とその適応
 Immunonutritionは感染性合併症発生率の低下と入院日数の短縮をもたらすことが種々の臨床研究やメタ解析の結果から明らかになっている(参考文献6-3-1〜6-3-3)。しかしながら、immunonutritionは患者の死亡率は低下させないということもこれらのメタ解析によって判明している。また、ある種の待機的手術患者において術前術後のimmunonutritionは効果的であるが、ICU重症患者においては逆に死亡率が上昇するという報告もあることから、ICU重症患者へのIED投与に関してのコンセンサスは得られていない。現時点ではIEDをすべての種類の患者グループにルーチーンに使用すべきではないとされている(参考文献6-3-4)(図Ⅰ)。
 2001年の米国静脈経腸栄養学会(ASPEN)のU.S.サミットにおいてIEDを経腸的に使用すべき疾患についての協議がなされた。それによれば、①血清アルブミン値3.5g/dL未満の中等度ないしは高度の栄養障害のある待機的上部消化器外科手術患者、②血清アルブミン値2.8g/dL未満の高度な栄養障害を有する下部消化器外科患者、③injury severity score(ISS)が18以上の複数領域の外傷患者、そして④腹部外傷スコア(abdominal trauma index)が20以上の腹部外傷患者をIEDによる早期経腸栄養が最も推奨される疾患として取り上げている(参考文献6-3-5)(表Ⅰ)。また、IEDの投与時期・投与量については、待機手術患者においては術前5〜7日から最低5日間に1,200〜1,500mL、ないしは患者の総投与カロリーの少なくとも50〜60%を投与すべきとされている(参考文献6-3-5)。
 また、医療経済面でのimmunonutritionの節約効果も報告されている。Bragaらは304人の消化器外科患者を術前IED投与群と非投与群に分けて検討すると1患者あたりの平均コストは投与群が1,873ユーロであったのに対し、非投与群では3,122ユーロと有意に高額であった(p=0.04)と報告している(参考文献6-3-6)。欧米と本邦の医療制度の相違もあり、簡単には比較できないが、本邦でのDPC導入後のこの種の解析に期待したい。
 このようにある種の病態では効果のあるimmunonutritionであるが、どの成分がどのような作用をもたらしているのかなど不明な点も多い。今後はIEDの効果が認められる病態に関する詳細な検討と各病態に応じた最適な組成をもったIEDの開発が期待される。
 2009年、米国集中治療学会(SCCM)と米国静脈経腸栄養学会(ASPEN)合同による成人重症患者に対する栄養サポート療法ガイドラインが発表された(参考文献6-3-7,6-3-8)。
 これによると、待機的大手術、外傷、熱傷、頭頸部がん、人工呼吸器管理下の重症患者に対しては免疫賦活性経腸栄養食品(アルギニン、グルタミン、核酸。n-3系脂肪酸、抗酸化物質を強化したもの)の使用が推奨されている(外科的ICU患者に関してはGrade A推奨、内科的ICU患者に関してはGrade B推奨)。その他の患者に対しては標準組成の経腸栄養食品の使用を推奨している(Grade B推奨)。
 また、同ガイドラインでは成人呼吸窮迫症候群(ARDS)や重症の急性肺障害(ALI)患者に対しては抗炎症作用をもつ脂質〔魚油(n-3系脂肪酸)、ボラージオイル(γ-リノレン酸)〕や抗酸化物質を強化した経腸栄養食品を投与すべきとされている(Grade A推奨)。これは投与されたn-3系脂肪酸やγ-リノレン酸(実はn-6系脂肪酸である)が低炎症性エイコサノイド〔プロスタグランジンE1、E3(PGE1、PGE3)、トロンボキサンA3(TXA3)、ロイコトリエンB5(LTB5)など〕を産生することで体内の炎症反応を鎮静化するという作用機序に基づいている。
図Ⅰ

図Ⅰ●Immunonutritionの概念(クリックで拡大します)

下記の疾患ではimmune enhancing dietによる早期経腸栄養が強く推奨される
A. 待機的消化器外科患者
血清アルブミン値が3.5g/dL未満の中等度〜高度の栄養障害を有する食道、胃、膵臓、胆道系などの消化器外科手術予定患者
血清アルブミン値が2.8g/dL未満の下部消化管手術を受ける患者
B. 体幹部における鈍的損傷・穿通性損傷の患者
① injury severity score(ISS)≧18の外傷患者
通常2ヵ所以上の体区分(腹部、胸部、頭部、脊髄、四肢、大きな軟部組織)の外傷があり、そのうち少なくともひとつが重症であること
② 腹部外傷スコアが20以上の患者
4度〜5度の大腸外傷、3度〜5度の膵臓十二指腸領域の外傷、4度〜5度の肝外傷、胃内容物で上腹部に大きな汚染をもたらすような胃損傷(4度〜5度)、さらに複数の腹腔内臓器への損傷を伴っている
● Immunonutritionの開始時期と持続時期
① 手術前5〜7日から実施するのが望ましい
② よって最低5〜7日間の実施期間が必要になる
● Immune-Enhancing Dietの量は?
サプリメントとして少なくとも1,200〜1,500mLもしくは所要カロリーの50〜60%の量は必要とされる

表Ⅰ●Immunonutritionが強く推奨される疾患参考文献6-3-4より引用)



【執筆】田平洋一氏
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