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キーワードでわかる臨床栄養

第6章栄養療法の実践

6-3:脂質必要量の算出[lipid requirement]

脂質必要量の算出[lipid requirement]
 通常の脂質のエネルギー比率は総エネルギー消費量の20~30%で設定する(参考文献6-3-1).脂質は1 gあたりの熱量が9 kcalで,炭水化物,タンパク質に比較して高エネルギーなので,効率的なエネルギー源である.脂肪は呼吸商が低く,体内での代謝時に炭水化物に比較して二酸化炭素の産生が少ないため,慢性閉塞性肺疾患(COPD)や急性呼吸窮迫症候群(ARDS)などの血中に二酸化炭素の蓄積が懸念される病態では,脂肪の投与が優位となる.
 「日本人の食事摂取基準(2020年版)」では,飽和脂肪酸のエネルギー比率は7.0%以下であり,性別年齢により異なるが,n-6系脂肪酸は7~11 g/日,n-3系脂肪酸は1.6~2.2 g/日を目安量としている(参考文献6-3-3).
 静脈栄養での脂肪乳剤の使用に関しては,原則的に投与速度は,0.15 g/kg体重/時以下に設定し,1日1.0 g/kg体重以上の投与は避ける(参考文献6-3-4)9-3:脂肪乳剤投与速度の上限[upper limit of infusion rate](https://www.nutri.co.jp/nutrition/keywords/ch9-3/keyword8/)も参照..

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