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第7章経静脈栄養法

7-1:経静脈栄養法の適応

■1 経静脈栄養法適応の考え方
 栄養療法を選択する場合の考え方としては、“If the gut works, use it”(腸が使える場合は腸を使え!)が基本である(図Ⅰ)。すなわち、栄養評価を行って栄養療法が必要と判断した場合、まずは腸管が使用可能かを考えてから栄養療法の方法を考える、という手順となる。したがって、静脈栄養法(parenteral nutrition:PN)を選択するのは、経腸栄養法(enteral nutrition:EN)が実施できない場合、ということになる。しかし、経腸栄養法で十分な栄養投与ができない場合には静脈栄養法を併用する、という考え方もあることは重要であろう。現在、静脈栄養法は感染の危険があるから、bacterial translocationが発生する危険があるから、という理由で経腸栄養法一辺倒になっている傾向がある。もちろん、経腸栄養法を優先的に選択すべきではあるが、静脈栄養法をうまく併用したりすることも、適切な栄養療法を選択する場合には考えておくべきことである。
図Ⅰ

図Ⅰ●栄養療法と投与経路のアルゴリズム(クリックで拡大します)

■2 経静脈栄養法の種類
 静脈栄養法には、末梢静脈カテーテルを介して栄養輸液を投与する末梢静脈栄養法(peripheral parenteral nutrition:PPN)と、中心静脈カテーテルを介して投与する中心静脈栄養法(total parenteral nutrition:TPN)がある。一般に、PPNとTPNは、静脈栄養法の実施期間(PPNでは2週間以内、それ以上の期間の場合はTPN)によって選択することになっている。しかし、実際には、投与するカロリーや輸液組成、末梢静脈の状態なども考慮する必要がある。また、PPNは栄養状態が比較的良好な症例で、非侵襲時あるいは軽度侵襲下における短期間の栄養管理に限るべきであり、栄養状態の改善というよりも、栄養状態の維持という意味合いが強い。栄養状態の改善を目的とする場合や、栄養障害が高度な場合にはTPNが選択されるべきであろう。
■3 適応の基準
 TPNの適応については、日本静脈経腸栄養学会が作成した「静脈経腸栄養ガイドライン第2版」(参考文献7-1-1)を参照していただきたいが、原則的な考え方は表Ⅰに示す、1986年に発表されたASPEN(アメリカ静脈経腸栄養学会)のガイドラインが理解しやすい(参考文献7-1-2)。基本は、経口摂取ならびに経管栄養を含む経腸栄養が不可能な場合、あるいはTPNの実施が有利に働く場合がTPNの適応で、短腸症候群、消化管通過障害、腸瘻などは、絶対適応である。また、炎症性腸疾患などでは消化管の使用が好ましくない状態としてTPNの適応となり、広範囲熱傷、肝不全、腎不全などの場合にはmetabolic supportとしてTPNが適応となる。一方、消化管に異常がない場合は禁忌と考えるべきであり、消化吸収機能に障害がない場合である脳血管障害後遺症、神経・筋疾患に伴う嚥下障害ではTPNは原則として適応にならない。また、がん末期状態の症例に対するTPNの適応については、議論のあるところである。

1. 日常治療の一部として行う場合
 1)消化管の栄養素吸収能がない場合
  a. 小腸広範囲切除患者
  b. 小腸疾患〔強皮症、SLE(全身性エリテマトーデス)、スプルー、
   CIIPS(慢性特発性偽性腸閉塞)、
   クローン病、多発性小腸瘻、小腸潰瘍〕
  c. 放射線腸炎
  d. 重症下痢
  e. 重症で長期間続く嘔吐
 2)化学療法、放射線療法、骨髄移植
 3)中等度〜重症膵炎
 4)消化管機能の障害を目前にひかえている高度栄養障害患者
 5)消化管が5〜7日間以上機能しないと思われる高度異化期患者
   (敗血症、拡大手術、50%以上の熱傷、多臓器外傷、重症炎症性腸疾患)
2. 通常、役に立つことが期待できる場合
 1)大手術(大腸全摘、食道癌手術、膵頭十二指腸切除、
   骨盤内臓全摘、腹部大動脈瘤など)
 2)中等度侵襲:中等度の外傷、30〜50%熱傷、中等度膵炎
 3)消化管瘻
 4)炎症性腸疾患
 5)妊娠悪阻
 6)集中的治療を必要とする中等度栄養障害患者
 7)5〜7日間に十分なENを行うことが不可能な患者
 8)炎症による小腸閉塞
 9)集中的化学療法を受けている患者
3. 十分な価値が認められない場合
 1)消化管を10日以内に使用可能で軽度の侵襲や外傷を受けた
   栄養状態良好な患者
 2)7〜10日以内に消化管が使用できるかもしれない患者の手術・侵襲直後
 3)治療不能な状態にある患者
4. 施行すべきでない場合
 1)十分な消化吸収能をもった患者
 2)高カロリー輸液が5日以内にとどまる場合
 3)緊急手術が迫っている患者
 4)患者、あるいは法的保護者が強力な栄養療法を希望していない場合
 5)強力な化学療法を行っても予後が保証されない場合
 6)高カロリー輸液の危険性が効果を上回る場合

表Ⅰ●高カロリー輸液施行のガイドライン(成人)参考文献7-1-3より引用)



【執筆】井上善文氏
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