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第3章栄養素とその代謝

3-2:糖質代謝

■1 糖質の動態と体内での役割
 糖質(carbohydrate)は主要なエネルギー源として重要であり、その大きさにより単糖類(monosaccharide)、二糖類(disaccharide)、多糖類(polysaccharide)の3グループに分けられる。消化吸収過程では、食事中の多糖類から単糖類へ分解され、吸収される。食事タンパク質の消化で生じるアミノ酸および糖質の消化で生じるグルコースの吸収は、肝門脈系という共通のルートによる(図Ⅰ)。
 肝臓は多くの代謝物、特にグルコースとアミノ酸の血中濃度を調節するという基本的な代謝機能をもつ。食後など血中に過剰なグルコースがある場合には、それらのグルコースを取り入れ、グリコーゲンに転換する(グリコーゲン合成、glycogenesis)か、脂肪に転換する〔(脂肪合成、lipogenesis(4章:各栄養素の必要量と投与量参照)〕ことで体内にエネルギー源を貯蔵する。絶食あるいは食間期には、このグリコーゲンを利用して、血中グルコースを補う(グリコーゲン分解、glycogenolysis)か、腎臓とともに乳酸、グリセロール、またアミノ酸など非糖質代謝産物をグルコースに転換する(糖新生、gluconeogenesis)(図Ⅱ)。
 ほとんどの組織は単糖であるグルコースへの最小要求量がある。脳にとってグルコースは最も利用しやすいエネルギー源であり、成熟赤血球のようにミトコンドリアに乏しい細胞にとっては必須である。したがって、グルコースの合成と利用は、エネルギー代謝上きわめて重要な中間代謝過程である(図Ⅰ)。
図Ⅰ

図Ⅰ●糖質、アミノ酸代謝の流れ(クリックで拡大します)
腸管から吸収されたグルコースとアミノ酸は、肝臓で代謝され、筋肉や赤血球で利用され、それらは相互に密接に関連する。グルコースは筋肉中で直ちにリン酸化される。アミノ酸から生じた窒素は尿中排泄される。
参考文献3-2-1よりをもとに作成)

図Ⅱ

図Ⅱ●解糖系と糖新生の協同
解糖系と糖新生系は,すべての細胞のグルコースに依存したエネルギー要求を満たすように,組織に特異的な様式で調節されている。
参考文献3-2-2より引用)

■2 解糖によるグルコースの利用
 解糖(glycolysis)はグルコースを利用する主経路であり、あらゆる細胞の細胞質ゾル中にみられる(図Ⅲ)。解糖はグルコースを代謝してアセチル-CoAをつくり、クエン酸回路による酸化へと導く主要代謝経路である。食事に由来するフルクトースやガラクトースも体内の異化反応に由来するものも、ほとんどすべての糖質はグルコースに変換可能である。解糖によりエネルギーをATPの形で獲得し、ほかの代謝経路に中間体を供給する。解糖は酸素があればミトコンドリアの呼吸鎖を通して酸素を利用するが〔好気的解糖、aerobic glycolysis〕、酸素が全くない場合でも働く〔嫌気的解糖、anerobic glycolysis〕(図Ⅳ)。
 解糖は2つの役割をもつ。第一は、ATPの生成である。解糖系でもATPが生成され、さらに、ほとんどのATPがつくられるクエン酸回路および酸化的リン酸化に基質を供給している。好気的条件ではグルコース1モルあたり38モルのATPが、また嫌気的条件下では2モルのATPが産生される(図Ⅲ)。第二の役割は、多くの生合成経路への前駆体となる中間体をつくることである。例えば、アセチルCoAは脂肪酸合成のための前駆体である。ピルビン酸にアセチル基と補酵素A(CoA)が結合してアセチルCoAができる。アセチルCoAは、糖からだけでなく、タンパク質や脂質からも生成される。こうしてできたアセチルCoAはクエン酸回路〔TCA(トリカルボン酸)回路〕というサイクルに入る。TCA回路で生成されたNADH2は、電子伝達系によりATP生成に利用される。これらの糖代謝経路の肝実質細胞における局在は図Ⅴに示すごとく細胞質ゾルとミトコンドリアに存在する。グルコースは嫌気的解糖の基質となるから、運動中の骨格筋は好気的酸化では間に合わなくなったときでも高レベルの活動を行うことができ、各組織は無酸素的な環境にあっても機能することができる。
図Ⅲ

図Ⅲ●糖代謝反応(クリックで拡大します)
解糖系、TCA回路、電子伝達系の関連
参考文献3-2-3より引用)

図Ⅳ

図Ⅳ●解糖の概要
嫌気的条件では、グリコーゲンが使われ、乳酸となる。一方、嫌気的条件では、乳酸は蓄積せず、ピルビン酸が最終産物となり、さらにCO2と水にまで酸化される。
嫌気的解糖や赤血球(ミトコンドリアがない)では阻止される反応。
参考文献3-2-1より引用)

図Ⅴ

図Ⅴ●肝実質細胞における主要代謝経路の細胞内局在とその概観(クリックで拡大します)
ミトコンドリアは、糖質、脂質、アミノ酸代謝に重要で、クエン酸回路、呼吸鎖とATP合成、脂肪酸のβ酸化、ケトン体合成、アミノ基転移が行われる。解糖系、ペントースリン酸経路、脂肪酸合成は、細胞質ゾルに存在する。小胞体では、膜でトリアシルグリセロール合成が行われ、リボソームはタンパク質合成の場である。
AA:アミノ酸、AA:必須アミノ酸の代謝、AA:非必須アミノ酸の代謝。
参考文献3-2-1より引用)

■3 血中グルコースの調節
 血中グルコースは3つの供給源から得ることができる。食事とグリコーゲン分解と糖新生(gluconeogenesis)である。絶食時には、迅速に動員可能なグリコーゲンが肝臓と腎臓で利用され、血中にグルコースが放出される。筋肉のグリコーゲンは運動中の筋肉内で分解されて筋肉に重要なエネルギー源を供給する。ただし、肝臓のグリコーゲン貯蔵量では必要カロリー半日分のグルコースしかまかなえない。そこで、空腹時は糖以外の物質、すなわち筋タンパク分解による糖原性アミノ酸と脂肪分解によるグリセロールからのグルコース合成(糖新生)でまかなわれる。糖新生は血糖値の低下に対応するには少し反応が遅いが、持続的にグルコースを合成・供与する。
 代謝経路全体の流れの調節は、その経路の主要産物の供給を必要に応じて適切に保つのに重要であり、経路中の“調節酵素”により触媒されるわずか1つ、あるいは2つの反応の調節によって行われる。それらの“調節酵素”の活性は、ホルモンによってもコントロールされる。図Ⅵに、糖質、タンパク質、脂質の代謝とホルモン作用を示した。これらの代謝は、インスリン、グルカゴン、グルココルチコイド、成長ホルモンアドレナリンの作用によって中間代謝調節が行われている。インスリン以外のホルモンは、侵襲下で増加するためにストレスホルモンと呼ばれ、また、インスリン作用とは逆作用のため抗インスリンホルモンともいわれ、侵襲下での高血糖の原因として作用する。
図Ⅵ

図Ⅵ●糖質、タンパク質、脂質の代謝とホルモン作用(クリックで拡大します)
吸収期と空腹期の全く異なる中間代謝は、主にホルモンにより調節される。吸収期にはインスリンが、空腹期にはアドレナリン、グルカゴン、成長ホルモン、甲状腺ホルモン、副腎皮質ホルモンなどが働く。
G-6-P:グルコース-6-リン酸、I:インスリン、GL:グルカゴン、GC:グルココルチコイド、GH:成長ホルモン、AD:アドレナリン
参考文献3-2-4をもとに作成)



【執筆】宇佐美眞氏、三好真琴氏、濱田康弘氏
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