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キーワードでわかる臨床栄養

第2章栄養素とその代謝

2-6:マンガン(Mn)[manganese]

マンガン(Mn)[manganese]
 血清マンガン基準値:0.4μg/dL以下
 成人の生体内には10~20 mg存在している.食品中の含有量は,一般に植物性食品に多く,動物性食品に少ない.吸収は小腸全体2価金属輸送体1(DMT1)を介する能動輸送または拡散輸送によって行われ,その吸収率は約1~5%と推定されている.一方,マンガン摂取量の増加とともに吸収率が減少し,マンガンや鉄の栄養状態が低下している場合は,吸収率が増加することが認められている.
 血漿中では,α2マクログロブリン,Mn2+の状態でアルブミンと結合し,肝臓に運搬された後に,90%以上が胆汁によって小腸に分泌され,糞便中から排泄される.
 マンガンの生体内機能は,さまざまな脱水素酵素,キナーゼ,リン酸トランスフェラーゼなどの活性化に加え,マグネシウムと共同で活性化し,アミノ酸,タンパク質代謝,脂質代謝に関与していることや,マンガン含有酵素であるグルタミンシンセターゼ,ピルビン酸カルボキシラーゼによるマンガンスーパーオキシドジスムターゼ(MnSOD)などの構成成分となっていることがあげられる.MnSODは,抗酸化作用として重要な働きをしている.
 マンガンの欠乏は長期中心静脈栄養(TPN)施行患者での例があるが,一般の食事摂取では起こらない.一方,マンガンの毒性については,TPN施行時の過剰投与により,マンガンの脳蓄積が起こり,パーキンソン病様の症状が出現することが問題となる.

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