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キーワードでわかる臨床栄養

第10章各疾患の栄養管理

10-8:高LDLコレステロール血症[hyper-LDL cholesterolemia]

■高LDLコレステロール血症[hyper-LDL cholesterolemia]
 遺伝的素因,食事,甲状腺や腎臓の疾患などにより,LDLコレステロールが上昇する.LDLコレステロールは,粥状動脈硬化の発症や進展に大きくかかわっていることが知られており,具体的な機構を以下に示す.
LDLが糖と結合したり,酸化されることで変性LDLとなる.高血糖,喫煙,高血圧などによって傷ついた血管壁からLDLが血管内膜へ入り込み,酸化され変性LDLとなって蓄積する.これをマクロファージが取り込んで泡沫細胞となり,血管壁に沈着して,動脈硬化巣(プラーク)が形成される.さらに,破れやすいプラークが損傷を受けると,血小板が集まり血栓ができ,ますます血管内側が狭く,硬くなる.このように,高LDLコレステロール血症では動脈硬化の危険性が高まる.
●食事療法
 高LDLコレステロール血症では,総エネルギー摂取量の是正とともに脂質エネルギー比率を20~25%の範囲内で低めに設定することが有効である.飽和脂肪酸の摂取量とLDLコレステロールとの間には正の相関が示されており(参考文献10-8-5),飽和脂肪酸をエネルギー比率で4.5%以上7%未満,コレステロール摂取量を200 mg未満とすることで,高LDLコレステロール血症の改善が期待できる.また,飽和脂肪酸を一価不飽和脂肪酸もしくは多価不飽和脂肪酸に置換することも有用である.工業由来のトランス脂肪酸は,LDLコレステロールを上昇させることが知られており(参考文献10-8-6),(参考文献10-8-7),摂取は避ける.

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