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キーワードでわかる臨床栄養

第10章各疾患の栄養管理

10-15:COPDの全身性炎症[systemic inflammation]

COPDの全身性炎症[systemic inflammation]
 COPDに生じる気流制限は肺の炎症と関連しており,好中球,マクロファージ,Tリンパ球(特にCD8)などの炎症性細胞の増加とロイコトリエンB4(LTB4)やIL-8,TNF-αなどの炎症性メディエーターの増加で特徴づけられる(参考文献10-15-2).一方,全身性にも炎症が惹起されており,全身的な酸化ストレスの存在や血中の炎症性サイトカインの上昇が認められる.TNF-αの上昇と体重減少との関連,IL-6やTNF-αの上昇とFFM減少との関連,さらにIL-6およびIL-8の上昇と大腿筋力低下との関連が認められることから,全身性炎症が体重減少や運動能低下の原因となる可能性が示唆される.また,hsCRPの血中濃度の上昇が,心血管疾患の合併に関連している.全身性炎症は栄養治療の効果を低下させることも指摘されている.
 n-3系脂肪酸は転写因子であるNF-κB(nuclear factor kappa B)を制御することで,炎症性サイトカインの産生を抑制し,プロスタグランジンE2やトロンボキサンA2などのエイコサノイドの産生抑制作用も有する.最近,n-3系脂肪酸含有量の多い栄養剤投与と在宅での低強度運動療法の併用が,全身性炎症の抑制に有用であることが報告された.

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