NUTRI ニュートリー株式会社

医療従事者お役立ち情報

キーワードでわかる臨床栄養

第10章各疾患の栄養管理

10-12:シュウ酸結石[oxalate nephrolithiasis]

シュウ酸結石[oxalate nephrolithiasis]
 一般に尿路結石の80%以上はシュウ酸カルシウム(CaC2O4)によるシュウ酸塩腎結石症とされている.
 食物中のシュウ酸(oxalate:HOOC-COOH)は,通常カルシウムと結合し不溶性複合体として便に排泄される.腸内のカルシウム量が少ないと腸管からシュウ酸の吸収が増加する.また,脂肪はカルシウムとの親和性がシュウ酸よりも強いため,シュウ酸と結合するカルシウムを減少させて遊離型シュウ酸の吸収を増加させる.SBS患者で大腸が残っており,脂肪便がみられる(脂肪が大腸内に十分量存在することを意味する)場合には,シュウ酸は大腸から容易に吸収されるため,シュウ酸塩腎結石症を発症しやすくなる.シュウ酸とカルシウムの比率が1対1のときにシュウ酸カルシウム結晶形成は最大となるが,尿中シュウ酸排泄量はカルシウムに比し約1/10~1/20であり,シュウ酸排泄量の増加がそのまま結晶形成の増加につながる.したがって大腸が残っている患者では,24時間尿中シュウ酸値が上昇しているなら,低シュウ酸塩食を用いた方がシュウ酸塩腎結石症発症の危険を抑えることができる.シュウ酸はあらゆる食材に含まれているが,緑色野菜などに多く含まれている.こういった食材は煮ることで可溶性シュウ酸を煮汁中に出すことにより,シュウ酸含有量を約1/2に減らすことができる.
 また,カルシウム摂取量を増やすことや高炭水化物・低脂肪食もシュウ酸塩腎結石症発症の危険を抑えるのに有用である.

おすすめコンテンツ