TPOで経腸栄養剤を使いこなそう
経腸栄養剤の選び方 - 基礎講座 -監修 比企 直樹先生
北里大学医学部 上部消化管外科学 主任教授
					北里大学病院 副院長
					一般社団法人 日本臨床栄養代謝学会 理事長
食事が“口から”食べられなくなったら…
              “口から”食べられなくなる主な原因をまずは確認してみましょう。また対象となる患者さんに遭遇したとき、どのように対応していけばよいか、考えてみましょう。
“口から”食べられなくなる主な要因
                医療現場で遭遇する「“口から”食べられない」場面は、「食べたくない(食べる意欲がない)」のか、「食べられない(飲み込めない)」のかを見極める必要があります。「食べられない」に苦痛が伴うと「食べたくない」原因になることも考えられます。人それぞれに異なる原因や環境に留意し、最適で安全な対応が求められます。
                  
そもそも食べたい気持ちがあるか、適切なケアや管理で再び食べられるようになるのか、不可逆的に食べられないのか、それぞれに応じた最適な対応をすることが必要ではないでしょうか。
- 
                  食べたくない(食べる意欲がない)
検討すべき 
問題- 食事時間(しっかり覚醒していない)
 - 本人の嗜好(好きなものではない)
 - 食べにくさ(不適切な姿勢や食べさせ方)
 
苦痛の要因 - 咀嚼機能(噛むと痛い、嚙めない)
 - 消化機能(腹部膨満感、便秘)
 - 呼吸機能(食べると苦しい、疲れる)
 - 味覚機能(味覚障害で味がない、味が異なる)
 
(文献1をもとに作成、一部改変)
 - 
                  食べられない(飲み込めない)
機能的原因 - 嚥下機能の低下、障害(神経・筋肉に問題がある)
                                  
例:脳卒中後遺症/神経筋疾患/抗精神薬や鎮痛剤の影響/加齢に伴う筋力低下 など 
器質的原因 - 口腔-食道-胃までの器官における通過障害
                                  
例:口内炎/咽頭がんによる腫瘍/炎症 など 
心理的原因 - 心因性疾患の影響
                                  
例:不安/うつ病による食欲不振 など 
環境的原因 - 不適切な食事介助
                                  
例:一口量が多い/不適切な食形態 など 
(文献1をもとに作成、一部改変)
 - 嚥下機能の低下、障害(神経・筋肉に問題がある)
                                  
 
栄養投与法を選択しよう
“口から”食べられない、あるいは食べる量が足りない場合、“腸を安全に使用できるか”をポイントに医学的適応に基づいて、栄養投与法を選択します。
                
●腸管が利用できない場合は、静脈栄養の適応となります。その期間だけでなく、必要な投与栄養量によって末梢静脈または中心静脈が選択されます。
●腸管が利用できる場合は、経腸栄養の適応となります。栄養チューブを口や食道の代わりに使用しますが、その期間が短期(4週間未満)であれば経鼻チューブを胃に留置します。長期(4週間以上)と見込まれる場合は胃瘻・腸瘻などに切り換え、専用のカテーテルを使って胃や腸にチューブを留置します。
                
以下のフローチャートをもとに、静脈栄養法と経腸栄養法のいずれが適応となるのか確認してみましょう。
栄養投与法の選択
画像をクリックすると、画像が拡大表示されます。
(文献2をもとに作成)
                  “口から”食べられないと判断された場合、経腸栄養法、静脈栄養法のどちらを選ぶのか、十分に見極める必要があります。
                      
腸が機能している場合は、経腸栄養法を選択することが世界的なコンセンサスとなっています。それはなぜか、わかりやすく解説していきます。
参考文献
                
1)渡辺克哉、鷲澤尚宏監修:「食べられない」を支える在宅食支援.ニュートリション・ジャーナル Vol.04 メディバンクス 2019
                
2)日本静脈経腸栄養学会編:静脈経腸栄養ガイドライン 第3版.pp.13-17,照林社 2013
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