吐き気やムカムカ、口の中に不快感も。
「食欲不振」を「食べたい」に変えるコツ。

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口内炎による痛み?
がん治療の副作用で起こる食欲不振。

 胸や胃のあたりが気持ち悪くて、「食べたくない」といった経験は、誰にでもあるものです。その中でも注目したいのは、「がん化学療法・放射線療法の副作用」で起こる食欲不振です。
 いま国内でのがん患者数は増加の傾向にあり、2人に1人が経験するともいわれています。手術、化学療法・放射線療法など治療法も進化し、不治の病から治癒に至る病気に変わってきました。しかし、治癒のプロセスにおいて、食事の問題を抱えるケースが多いことは、一般にはあまり知られていません。
 がん患者は、化学療法・放射線療法を行うことで、治療効果を得ることができます。一方で、吐き気、気持ち悪さ、味を感じないなどの「味覚障害」、口内炎による痛みなどで「飲み込み困難」といった副作用が生じ、“食べられないこと”に遭遇します。それらの副作用は食欲低下を引き起こし、必要な栄養素が不足する状態に陥ります。食べられない状態を放置しておくと、低栄養や免疫力低下から脱することができなくなり、治療効果にも影響が出てきてしまいます。

ほんの少量でも高栄養価の食品を。
口当たり良く飲み込みやすい食事のススメ。

 がん治療中の方の栄養療法としては、以下の3つのポイントを押さえることが重要です。

少量×高栄養食品を摂り入れる

 食事が十分にとれない時は無理をせず、食べられる時に食べられるものを摂るようにしましょう。必要な栄養素を効率よく摂れるよう、「少量で高栄養な食品」を活用するのがおすすめです。
 例えば、200mLのコンパクトサイズで500kcalを補給できるドリンクや、少量でも5大栄養素をまんべんなく補給できる「濃厚流動食」なども、医療現場では「栄養療法食品」として利用が進んでいるので、安心して召し上がれます。エネルギー確保のために、医師に相談しながら、状態に応じて選びましょう。

ビタミン・ミネラルを補給する

 口内炎、味覚障害にはビタミン・ミネラル補給が必要です。摂取した栄養素を効率よく代謝できるので、積極的な補給が求められます。ただ、普段の食事でも不足しがちな栄養素のため、「栄養補助食品」を活用するのもおすすめ。1本125mLあたりにビタミン12種類、ミネラル8種類と多種多量に配合したドリンクも販売され、通信販売などでも手に入りやすくなっています。

飲み込みやすい食品を選ぶ

 食欲がわかない場合は、冷たいもの、さっぱりしたもの、口あたりの良いものを選びましょう。口内炎などの痛み、口の渇きが気になる場合は、のどごしの良い飲料のほか、ペースト状の食事、あんをかけた食事などにし上げるため、「とろみ調整用食品」を活用するのもお勧めです。またやゼリー類なども食べやすい食品です。「ゲル化材」を使って食形態を調整するのも、医療機関ではよく行われる工夫です。
 がん化学療法・放射線療法の主たる副作用は食欲低下であるため、十分な摂取量が確保できず、食事だけでは栄養素の補給はままならないことが多いといわれます。さらに亜鉛などの微量栄養素の欠乏が味覚・嗅覚障害を増悪し、悪循環に陥る危険性もあります。Quality of life(QOL)の観点からも、これら副作用の予防対策は重要です。
 また、家族や周りは心配して「何とか食べてほしい」という気持ちになりがちですが、それがかえって「食べるのがつらい」と食事そのものが苦痛やストレスになり、本人の負担になってしまうこともあります。そんな時は、医療の現場で利用されている「栄養療法食品」を活用して、食事に対する心身の負担を軽減するということも大切な視点です。

この悩みに関する栄養療法の実践アドバイス