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キーワードでわかる臨床栄養

第9章静脈栄養法

9-2:中心静脈カテーテルの挿入方法

■中心静脈カテーテルの挿入方法
 静脈穿刺法と静脈切開法に大別される.静脈穿刺法は,外套付穿刺針を静脈内に挿入し,外套内にカテーテルを挿入するdirect puncture法(図12)と,細い針で穿刺してガイドワイヤーを挿入し,ガイドワイヤーに沿わせてカテーテルを挿入するSeldinger法(図13)の2法がある.Seldinger法の方が細い針で静脈を穿刺することになるので,安全性が高いといわれているが,ある程度の慣れが必要である.しかし,ダブルルーメンカテーテルやトリプルルーメンカテーテルの場合は,Seldinger法で挿入する場合が多い.
図12●direct puncture法によるCVC挿入

図12●direct puncture法によるCVC挿入
太い外套付穿刺針で静脈を穿刺し,残した外套内に直接カテーテルを挿入する方法である.穿刺針が太いため,合併症が起こった場合にはSeldinger法よりも重篤な状態になる可能性がある.

図13●Seldinger法によるCVC挿入

図13●Seldinger法によるCVC挿入
細い針で穿刺してガイドワイヤーを挿入し,ガイドワイヤーに沿わせてカテーテルを挿入する.あらかじめガイドワイヤー挿入部の皮膚を少し切開しておき,ダイレーターで皮膚および皮下を拡張させておいてからカテーテルを挿入する必要がある.穿刺針が細いため,静脈の損傷が小さいという利点がある.現在のほとんどのCVCはSeldinger法で挿入されている.ただし,ガイドワイヤーを深く挿入しすぎると,心筋を刺激して重篤な不整脈が発生する危険性がある,という点にも注意が必要である.

 図14●静脈切開法

図14●静脈切開法
局所麻酔下に皮膚切開を行って静脈を露出し,直接,静脈内にカテーテルを挿入する.頸部での外頸静脈切開,肩の部分での橈側皮静脈切開,上腕における尺側皮静脈切開,鼠径部での大伏在静脈切開などがよく行われる.皮下トンネルを有効に活用することにより,非常に安定したカテーテル挿入部管理が可能である.外科的手技ではあるが,慣れれば,外科医以外でも安全に実施できる方法である.もちろん,生命の危険のある合併症は発生しない.

 静脈切開法は,露出した静脈を切開して直接カテーテルを挿入する方法である(図14).どの静脈からも実施可能であるが,外頸静脈,内頸静脈(一般に巾着縫合を用いてカテーテルを挿入する),橈側皮静脈,尺側皮静脈,大伏在静脈などが選択される.鎖骨下穿刺でCVポートなどを挿入する場合,鎖骨と第一肋骨の間隙でカテーテルが持続的に圧迫され,カテーテルが断裂する危険性が指摘されており,われわれは活動性の高い症例にポートを挿入する場合は,原則として静脈切開法を選択している.

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