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8-10:炎症性腸疾患のキーワード

[2] 血清アルブミン、トランスサイレチン[serum albumin, serum transthyretin]

 腸炎が持続したり肺炎を合併したりして炎症が続いていると、肝臓でのアルブミンやトランスサイレチン(プレアルブミン)の合成が抑制され、急性相タンパク(CRP)の合成に傾く。血清アルブミン値が低下すると血管内の膠質浸透圧が低下するので浮腫が出現する。血清アルブミン値が2.5g/dL以下の高度低下がみられた場合は、胸水や腹水貯留による呼吸困難が出現することがあるので、アルブミン製剤の静注を考慮する。
① 血清アルブミン
 血清アルブミンは肝臓で合成される分子量66,000のタンパク質で、血中での半減期は約15日である。炎症性腸疾患症例では、摂取量が減少するために肝障害での合成が低下して低アルブミン血症が惹起される。ネフローゼ症候群を合併している場合は尿中にアルブミンが漏出するので尿検査を実施しておくべきである。甲状腺機能亢進があっても低アルブミン血症が起こり、クローン病ではタンパク漏出性胃腸症の病態を伴っているので、低アルブミン血症をきたしやすい。輸液が開始されると、血液が希釈され、アルブミン濃度が軽度低下する。急激に血清アルブミン値が増加した場合は脱水症を考える。血清アルブミン値の変動を追跡したい場合は、早朝空腹時の採血を指示する。半減期が比較的長いので、栄養摂取が順調にすすんでも血清アルブミン値はすぐには上昇しない。栄養管理を評価する場合には、ラピッドターンオーバープロテイン(rapid turnover protein:RTP)を指標に用いるべきである。
②トランスサイレチン
 RTPとして半減期約2日のトランスサイレチン(プレアルブミン)を用いることが多い。血中濃度が21mg/dL以下に低下したら高カロリー輸液や血漿タンパク補充療法を考慮する。炎症性疾患では活動期や手術後にはタンパクの異化亢進が進んだり、炎症巣への滲出が起こったりするので血清プレアルブミン値が低下する。栄養不良、慢性肝障害、広範な組織壊死、手術前後の中心静脈栄養の適応を決定するための検査および効能判定で測定する場合に保険適用がなされている。
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