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キーワードでわかる臨床栄養

第7章経口栄養療法

7-4:発達期嚥下調整食分類2018

■発達期嚥下調整食分類2018
 ヒトは生下時から,成人のような摂食嚥下機能を有しているのではなく,構造も機能も異なる新生児が,吸てつによる哺乳を行っており,その後,機能と構造が相互に発達して,離乳期を経て,成人型の摂食嚥下機能を獲得する.機能と構造(口腔咽頭の構造,歯の発育)は相互に関連しあって発達するため,発達期に障害があると,発達の不全やアンバランスを生じ,それに精神発達障害の合併や,頭頸部を支える体幹や肢体の不自由や異常な筋緊張などが加わると,さまざまなバリエーションをもった摂食嚥下機能障害が生じる.このような発達期の摂食嚥下障害症例においては,中途障害を対象とした学会分類2013とは少し違う配慮の形態調整が必要であることから,複数学会の協力による「発達期摂食嚥下障害児(者)のための嚥下調整食分類2018」(略称発達期嚥下調整食分類2018)が発表された.これも摂食嚥下リハ学会ホームページから入手可能である(参考文献7-4-5).
 発達期嚥下調整食分類2018は,発達期に特有の病態に配慮したまとまりペースト,まとまりマッシュなどの食形態を提唱していること,離乳食分類を補完した整合性を有していること,主食と副食を別々に提示していること,食を通した精神運動発達にも配慮した内容となっていることなどの特色がある.さらに,学校教育の場での利用(特殊学級の給食)にも配慮し,主食・副食各4段階の食形態を厨房でつくって手元調理で展開できるように,展開図などの提案もしている.カラー図版で食形態がわかりやすく示されている.
 成人の中途障害においても適切な嚥下調整食の提供は訓練の効果があるが,発達期の障害児にとっては,適切な食形態であり,かつ味や香り,外観にも配慮された調整食を適切に供することは,摂食嚥下機能の発達を促すだけでなく,さまざまな面の発達を促す食体験としても重要である.

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