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第6章経腸栄養法

6-7:プロバイオティクスとプレバイオティス

 プロバイオティクスプレバイオティクスという用語は、最近では一般にもよく知られるようになった。プロバイオティクスとは、「宿主に有益に働く生きた細菌(=有用菌)によって構成される添加物」と定義され、Lactobacillus属に代表される乳酸菌、Bifidobacterium属細菌(ビフィズス菌)、Bacillus属細菌(納豆菌)などの生菌製剤およびヨーグルトなど発酵乳がこれに相当する。これに対して、プレバイオティクスは「大腸に常在する有用菌を増殖させるか、あるいは有害な細菌の増殖を抑制することで宿主に有益な効果をもたらす難消化性食品成分」と定義されており、いわゆるオリゴ糖類や抵抗性デンプン、食物繊維類などが相当する。
 ここで定義される「有益な効果」には感染防御、免疫応答調整、血圧や血糖調整、ミネラル類の吸収促進から皮膚の健康やストレス緩和に至る相当広範囲な保健効果が想定されるが、一般には下痢や便秘などの大腸症状の緩和が主目的である。
 経腸栄養が指示された患者におけるプロバイオティクスプレバイオティクス処方の意義についても同様に複数の意義を考えることができるが、やはり経腸栄養剤処方によって起こる便秘や下痢などの改善がねらいとなる。
■2 経腸栄養法とプロバイオティクス
 栄養剤の製造過程で殺菌工程が必要なことから、プロバイオティクスが含有される商品はほとんどない。しかし、死菌体でもペプチドグリカンなどの細胞壁成分、DNAやRNAにTLR(Toll like receptor)等の自然免疫分を介した粘膜免疫の賦活効果があるため一定の生理効果が見込まれる。発酵乳ばかりでなく乳酸菌死菌体製剤の給与によっても種々の日和見感染菌の増殖が抑制されることの報告例があり、細菌性の下痢についても効果があるとされる。実際に、長期の経腸栄養下の高齢者で抗菌薬の処方回数が減少したという報告例がある。発酵乳の場合には、菌体ばかりでなく製造過程で生成するオリゴペプチドなどの機能性成分が効果を示す可能性もある。
 動物実験では、発酵乳に含まれる乳酸によって食餌の胃排出が遅くなり、小腸での内容物滞留時間も延長することが知られている。消化物の胃排出速度の低下は、消化能力に問題がある患者の場合には、小腸へ消化物が少しずつ流入することを意味するので消化に対する負荷を軽減できる可能性がある。さらに、小腸での消化能力に問題がある場合には、大腸へ過剰な未消化物が流入し急速な乳酸発酵が起こってしまう危険性もあるが、内容物移動が遅く消化が十分に行われれば、こうしたリスクを減らすことも可能である(図Ⅰ)。
 経腸栄養下では、小腸の絨毛が萎縮する危険性が指摘されている。経腸栄養剤処方下の実験ではないが、離乳時の食事変化が誘導する小腸の絨毛萎縮を生菌でも死菌でも乳酸菌が改善することが報告されている。この変化は、上皮細胞やそれを裏打ちする線維芽細胞の増殖因子の生産によって起こると推測されており、自然免疫系の分子の関与が示唆される。絨毛の萎縮が進行すると、栄養素の吸収面積が減少するので、小腸絨毛高の維持は重要な意義をもつ(参考文献6-7-1)。
■3 経腸栄養法とプレバイオティクス
A. 経腸栄養法におけるプレバイオティクスの意義
 経腸栄養が指示される場合には、術前術後の栄養管理のように本来なら短期間の成分栄養で済む場合と高齢者の嚥下障害や寝たきり患者、PEM(protein-energy malnutrition)高齢者に対しての補助栄養、末期がんなど終末医療のように処方が長期化する場合がある。一般に、流動食はきわめて消化性のよい半消化態のもので構成されているので、大腸に流入する未消化物がほとんどない。そのため、一定のマス(嵩)をもった便を構成することができず便秘が起こりやすい。一方、小腸の消化能力が低下している場合には、未消化物が大腸に流入し異常な発酵が起こり消化不良性の下痢が発生することがあるなど、いずれも大腸症状の問題が起こりやすい。下痢や便秘の寛解はこうした長期の経腸栄養管理下の患者のQOL改善のために重要である。
 大腸の機能の多くは、大腸細菌の糖質発酵によって生産される短鎖脂肪酸(SCFA)(図Ⅱ)によって維持されている。特に粘膜上皮細胞の増殖、粘液の分泌、水や塩類の吸収、腸管運動などにとって必須の栄養素とされる。上皮細胞の増殖が悪い場合や粘液の分泌が悪い場合には、粘膜のバリアー機能が低下しているので、細菌感染などのリスクも高くなりがちである。また、モルヒネ処方の副作用である強固な便秘のような大腸症状も適切な難消化性糖質の給与によって改善された例が報告されている(図Ⅰ)。

B. 経腸栄養剤への難消化成分の配合
 短鎖脂肪酸の供給が不足する場合には、大腸の細菌に発酵基質が供給されない場合と、逆に過剰に供給されることで乳酸発酵が起こり結果的に短鎖脂肪酸の生成が低下する場合の2通りが考えられる。前者は、上述の大腸に未消化物がほとんど流入しない状態であり、後者は、未消化物が大量に流入する場合である。
 乳酸は、短鎖脂肪酸に比べて吸収が悪いため、同じカルボン酸であっても意義は異なる。このように短鎖脂肪酸の生産と供給を維持するためには大腸細菌に対する適切な発酵基質の供給が必要とされる。
 経腸栄養法のために開発されている栄養剤では、添加される糖質に経管投与に適する物性が要求される一方で浸透圧性の下痢を避けるために低分子量の糖質(難消化性オリゴ糖)の使用を避ける必要がある。したがって、これらの要求に合致するようにデキストリン類のように可溶性で比較的分子量の大きな難消化性多糖が用いられることが多い。これらの糖質でビフィズス菌の増殖を支持するものは、プレバイオティクスとして効能が検討されたものが含まれる。大腸での機能性を考慮すると、理想的には便に嵩高さをもたらす不溶性のものと発酵基質になる可溶性のもののそれぞれが必要となる。一般に、食物繊維を配合することには、これらの有効性がある反面、短腸症候群、炎症性腸疾患の急性期には症状悪化に関与するおそれがあるとして、禁忌の対象とされている。
 最近では流動食にさまざまな病態対応を求める傾向が高くなっており、それに対応してさまざまな仕様が求められるようになっている。血糖値や血圧などに特定保健栄養食品として効能が認められたプロバイオティクスプレバイオティクスが存在するので、病態対応という観点からプロバイオティクスプレバイオティクスの経腸栄養法への応用が進むものと思われる。
図Ⅰ

図Ⅰ●プロバイオティクスプレバイオティクスの作用部位とその効能

図Ⅱ

図Ⅱ●大腸発酵の産物と推定される化学式
ピンク色 は主要な最終代謝産物、そのほかは中間代謝産物、乳酸やコハク酸は下痢を伴う異常発酵の際に検出される
参考図書6-7-2のp.161をもとに作成)



【執筆】牛田一成氏
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