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第1章:栄養不良とその結果

1-3:栄養療法の目的と効果

 入院患者では栄養不良は比較的多くみられ、創傷治癒や免疫能に悪影響を与え合併症や死亡率などが高くなる。さらに在院日数の延長などにより入院費用の増加をもたらす。入院時栄養スクリーニングを行って栄養不良患者を識別し、栄養治療を行うことで患者の治療成績を高め、医療費を少なくすることが可能になる。
 栄養療法の目的は栄養低下の患者に十分な栄養管理を行うことにより、病気の治癒・回復を促進し、手術などの合併症の予防に貢献することである。これにより入院期間を短縮させ、医療費の削減が期待できる(1-2:栄養不良とその結果参照)。
■栄養療法の適応
 入院時の栄養状態の判定は1-5:栄養スクリーニング1-6:栄養アセスメントに詳しく述べられる栄養評価によって行われる。極端な栄養不良は病歴や視診でもわかるが、栄養評価により栄養不良を識別することが重要である。
 栄養サポートを必要とする絶対的な適応は、① 中〜高度の栄養不良、② 高度の侵襲に伴うカタボリズム(異化)亢進、③ 経口摂取が長期間できない場合などである。目安としては入院時の体重が通常体重(actual body weight:ABW)より10%以上減少している場合は栄養補給が必要である。体重減少がなくてもカタボリズムの強い火傷やさまざまな原因で食べることができない場合も栄養療法の適応となる。
 栄養法には、① 経口投与、② 経腸栄養法、③ 静脈栄養法がある。経口摂取が可能で、食事摂取量が必要量を満たしていない場合は、病院食に栄養価の高い経口補助食を追加することにより栄養改善が得られることがあるので、まず試みるべきである。経口摂取ができない場合にはチューブから栄養剤を注入する。チューブを留置する経路は、簡単な経鼻的経路から侵襲を伴う胃瘻空腸瘻までさまざまである。消化管が使えない場合は静脈栄養法を行う。
 栄養療法施行中の管理は重要で、適切な投与方法やモニタリング、感染予防などが必要である。合併症の中でも、特に静脈カテーテル関係の感染は重篤になるが、チームで管理を行う栄養サポート〔栄養サポートチーム(NST)〕は合併症予防に有効である(参考文献1-3-1)。このNSTは医師、看護師、管理栄養士、薬剤師など多職種で構成される院内横断的なチームで、不十分な栄養管理を補うことで不必要な合併症を防ぐことができ、医療の質を高め、経済的効果(栄養療法の経済的効果)も認められている(参考文献1-3-2)。
図Ⅰ

図Ⅰ●栄養療法の目的



【執筆】大谷順氏、曽田益弘氏
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各章目次 第1章:栄養不良とその結果 第2章:侵襲に対する生体反応 第3章:栄養素とその代謝 第4章:各栄養素の必要量と投与量 第5章:栄養と免疫、および生体防御機構 第6章:経腸栄養法 第7章:経静脈栄養法 第8章:各疾患の栄養管理 第9章:高齢者の栄養管理 第10章:食事・調理の科学 診療報酬の算定方法(抜粋の要約) 略語一覧 参考文献一覧
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