ニュートリーの製品に込められた経営者の想い

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「常識からのハミ出しが新しいものを創造する」そう期待するなら…

「常識からのハミ出しが新しいものを創造する」
と期待するなら、はみ出し者を排除すべきでない。


今ではもう時効であろうから打ち明けるが、東京湾でもっとも魚の濃い釣場は
「うみほたる」であると確信している。もちろん厳格な禁漁エリアである。

のこのこ壁を登って侵入すればサイレンが鳴ったり、非常灯が回転したりする。それでもなんとかそれをかい潜って懐中電灯で海の中を確認したところ、密集した魚の群れを確認することができた。「たまげた」とはこのことと言えるほどすごい。東京湾のど真ん中に位置する「うみほたる」は、千葉側には富津岬という広大な遠浅があり、潮通しがよく、地図で見ても魚がたまる場所であることがすぐに推測できる。スズキやメバルが乱舞する姿をどうしても見てみたいと思うのも私一人ではないはずだ。どうしてそんな危険を冒してまで確認する必要があったかといえば、それは飽くなき魚への私の情熱である。

私は海釣りと並んで雪山が大好きである。ゲレンデではない圧雪していないパウダースノーを滑る。北海道の旭岳には十数年来毎年通う。旭岳の山麗から山頂付近まで100人乗りのロープウェイで一気に上り、その後スノーシューを履いたりして山のいろいろな斜面にアクセスしパウダースノーを満喫する。雲に抱かれたような浮遊感は説明が付かないほど素晴らしい。雪が降った後などロープウェイの中は皆高揚しているのが分かる。その広大な山に幅7メートルほどのコースが2本あり、その部分は圧雪してある。一応ロープウェイの乗車口にはコース外の滑走は禁止と書かれている。しかしそれを守る人はほとんどいない。パウダーの聖地である旭岳に来て、パウダーを滑らない人はほとんどいないのである。その雪山の美しさや素晴らしさだけではなく、パウダーを滑ることで山と一体化する感覚が私を毎年雪山へと向かわせる。それはバーチャルでは決して味わうことの出来ないリスクの伴う現実の世界である。

ルールを侵すことを薦めているわけではない。だが、人を憧れへと突き進める原動力。それはほとばしる感性と、溢れ出す情熱である。しかし時に、その結果生じる行動は人の常識やルールといった安全域をハミ出す。

ここ十年くらいで、日本人が常識的に持っている安全域が異常に狭くなってきていると感じる。ほんの小さな微罪や、ちょっとした行政責任を断罪する風潮が気がかりで仕方ない。象徴的な表現に「~が問われる」という言葉がある。日本の報道は富に最近この言葉をよく使う。「~の説明責任が問われる」とか「~の行政責任が問われる」といった主語のない言葉だ。誰が問うのかといえば暗に国民が問うているという意味だろうが、はたして取材をしたのかといえば大体が記者やキャスターの主観である。本当にみんなそんなに怒っているのだろうかと疑ってしまう。そしていつも偽善という二文字が付きまとう。

「許さない社会」は、本当に皆が望む社会なのだろうか。

犯罪とは罪を犯すと書く。いかなる犯罪も許されないならば、人は生きてゆけない。
なぜなら人は生まれながらにして罪を負っているから。と私は思う。人は他を殺して食し、他と競って他を排し、時に欺き、陥れる。しかしそれから逃れられない生き物なのだ。
だからこそ、許しあい、認め合い、求め合って生きてゆかなければならない。そこに生きる力と喜びがあるのだと。

あまりにも厳格な社会の現象として、人は冒険をしなくなる。現実の世界のリスクを遠巻きにして、誰にも叱られない世界で生きてゆきたいと考える人が増えるのは当然だ。そんな人を少しでも満足させるものがバーチャルである。ゲームはもちろん、恋愛もしかり、臨場感あふれる3DのCG映像がつかの間の興奮を提供してくれる。

私の友人に栗城史多君という男がいる。「冒険の共有」を旗印に衛星生中継をネット配信しながら単独無酸素でエベレストに登る。引きこもりの子達がメールで「ありがとう」といってくれることが何よりうれしいと彼は言っていた。そんな彼をいろんなテレビが取り上げ、公共放送も特番を組む。何の為に?という人がいるかもしれない。しかしそれに対する回答はない。バーチャルでは決して得ることの出来ないリアリティーがそこにある。
ほとばしる感性と、溢れ出す情熱を共有し、認め合い、励ましあう。だからこそそこに皆が集まる。

「日本の元気」と人はよく言う。素敵なもの、素晴らしい未来、憧れ。しかしそれを生み出す力はルールや常識の範疇に収まらない。収まるはずがない。でもそれでも、皆がそれを望むなら、ハミ出し者こそ大切にする社会であるべきだと思う。

ニュートリー株式会社 代表取締役社長 川口晋 〈文〉

仲條順一 〈イラスト〉

2012年5月

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