ニュートリーの製品に込められた経営者の想い

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食品だから出来ること Part.3

なぜ世の中にはチューブからしか食事が摂れない人が
こんなに沢山いるのだろうか?


経験も知識もなかった若かりし頃、私はこの疑問を確かめるために現場に行った。
ある病院のとある栄養士さんに頼みこんで病棟にあがらせてもらった。
その光景を見て私は愕然とした。

ガラスの向こうにベッドがずらっーと、およそ30メートルほど並び、
その上に意識のないお年寄りがベッドの数と同じ人数横たわっていた。
そして皆鼻からチューブを入れて栄養剤の投与を受けていた。
「このチューブを外してくれ!」と心の中で叫んでいるかもしれない。
という恐怖感が私を襲った。

さらに重度身体障害者施設でチューブ栄養を受けている子供達も見に行った。
特に印象的だったのは暗室の中で一人ぽっちでいた子だった。
その子は1歳になったばかり。身長30センチくらい。
極度の光アレルギーで暗室でしか生きられない。
電気も点けられない薄暗い部屋で、
鼻チューブから栄養を摂ってかすかに胸を膨らませながら息をしていた。

こういった現実への耐性がまだなかった私は
見学のあと何日か夜中にうなされた。

自分の意思に関係なく施される医療の問題の深層
「強制栄養と自己決定権」
このテーマは別に書こうと思う。

さてさて当時の私には一つの疑問がわいた。
チューブ栄養を受けることになる前の人達は一体どんな食事をしているのだろうか?
事故などで嚥下機能を突然失う場合は別として、
多くの場合が徐々に嚥下機能が低下していくのだから、
普通に食事をしていた人が突然
「はい明日からチューブで食事を摂ってもらいます。」
とはならないはずである。
そこへ1つの話を耳にした。
ある栄養士さんにこう言われたのだ。
「病院の給食で牛乳の残食が多くて仕方がない。」
私はピンと来た。
高齢者が多く入院する病院では嚥下機能が低下している人が多く
沢山の人が普通に牛乳が飲めないはずである。
飲み込み障害、いわゆる嚥下障害はとくに液状の食品が飲み込みにくい。
だから嚥下障害のある人のための牛乳代替食品は必ず需要があるはずだ。

私のはじめての製品開発の出発点であった。

栄養士さんが牛乳に求める栄養学的な特徴はもちろん
「たんぱく質とカルシウム」だ。
嚥下障害のある人が比較的安全に食べれる形態はゼリーだ。
よって製品形態はカップゼリーがいいと考えた。
カップゼリーといえば普通はフルーツゼリーだ。
しかしフルーツゼリーは一般的に半透明である。
そこへ原料としての乳タンパクや炭酸カルシウムを入れたら白濁してしまう。
それではフルーツゼリーとは呼べない。

たんぱく源の原料を探していると最適なものが社内にあった。
コラーゲンペプチドである。
今でこそ有名になった原料だが父親はすでに注目していた。
珍しく海外文献を紐解きながらその原料の有用性を私に説いていた。
当時は写真用フィルムの表面処理用として、
あるいはビールの泡をきめ細かくするために使われていたが、
国内で栄養学的にその原料を注目していたのは父親だけではなかったか。
コラーゲンペプチドの1つ目の特徴は分子の長さである。
コラーゲン、いわゆる『にかわ』を適度に酸分解する。
そうすると何万もあった分子量が3000程度になる。それをペプチドと言う。
この状態は人が胃で消化し終わったあとの状態と同じである。
従って胃への負担が軽い。

2つ目の特徴は分子が短いせいで水に透明に溶ける。
3つ目の特徴はチロシン、フェニルアラニンというアミノ酸が含まれないこと。
実はこの2つのアミノ酸は肝臓病患者さんにとっては毒にもなる。
体の中に溜まりやすく、重症化すると肝性脳症という意識障害の原因となる。
父はこのコラーゲンペプチドを粉末で肝臓病食用のたんぱく補給食品として売っていた。
しかし肝臓が健康な人にとってはこのアミノ酸は必須である。
必須アミノ酸をすべて含有しないたんぱく質は良質のたんぱく質とは言わない
と一般的には言われる。
しかし、
このゼリーを召し上がる方は高齢者が多い。
高齢者の皮膚は乾燥していたり、しわしわだったりしていて
明らかにコラーゲンと水分が欠乏している。
そのことで皮膚からの感染に対する抵抗力が低下する。
コラーゲンには大量のグリシンとプロリンというアミノ酸を含む。
このアミノ酸は人の体内で合成ができる。
しかしその合成能力が落ちているからこそしわしわカサカサなのではないか?
よって口からこのアミノ酸を摂ってもらうことは有意義である可能性が高い。
このような経緯でたんぱく源は「コラーゲンペプチド」に決まった。
今でこそ若いお肌のためにコラーゲンを摂取する事が一般化してきて、
この原料が使われるようになって来ているが、
第一号は高齢者の皮膚のためにでだった。

さて次はカルシウム源である。
一般的にカルシウムは水に溶けない。
卵のカラや骨はカルシウムで出来ているがもともと水に溶けては困ってしまうものである。
しかし何にでも例外がある。
牛乳のカルシウムは吸収率がよい。
しかしもっと吸収率がいいのはヨーグルトのカルシウムである。
牛乳に乳酸菌が働くことで水に溶けていなかったカルシウムが
なんと水に溶けるカルシウムに変るのだ。
だから牛乳よりヨーグルトのほうがカルシウムの吸収がよい。
このカルシウムを乳酸カルシウムという。

文句なしにカルシウムはこれで決まり。

さて、これらの原料や果汁を持って行って、
ゼリー工場に頼みこんで試作を繰り返した。

そして数えきれない失敗を繰り返しやっと
果汁たっぷりで、牛乳と同等の栄養価をもつ
フルーツゼリーの完成だ。
ピーチ、オレンジ、青リンゴの三種類。
3つそろうと色合いも綺麗だ。

1993年2月いよいよ私が考案した製品第一号が出来あがった。

今では年間約700万個出荷されるようになるその製品は、
決して「華々しく」ではなく、ひっそりと世に出て行った。
商品名はプロテイン(たんぱく質)とカルシウムで
「プロッカ」?
まいっか。。。

プロッカZn ※現在商品

To be continued……

ニュートリー株式会社 代表取締役社長 川口晋 〈文〉

仲條順一 〈イラスト〉

2012年2月

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