ニュートリーの製品に込められた経営者の想い

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食品だから出来ること Part.1

「どうしても学校に行きたくない日」そんな日が定期的にあった。
その原因は私の実家の家業にあった。

私の実家は薬を作っていた。
薬といっても煎じ薬や風邪薬などの民間薬で新薬とは程遠い。
煎じ薬の製法はいたって簡単。
細断された原料の生薬を巨大な鉄釜で炒る。
当然もうもうと煙がでる。
家じゅうが、あるいは村じゅうが燻された生姜のような匂いに包まれる。
そして、私の洗濯物も必然その匂いが染みつく。
次の日学校に行けば、それこそみんなが「いぶかしがる」。
それがいやでいやで、ずる休み。

いつの頃からか、実家の家業は、製薬と並行して変ったものを作り始めた。
それを作り始めたきっかけを聞いたことがある。

昭和30年代、営業マンであった私の父が
なにかのきっかけで、とある大きな病院の給食課に訪ねた時のこと。
ふと、のぞき見ると厨房の傍らですき焼きが煮えている。
もうすっかり食べごろを過ぎ、すべての具材がクタクタになっている。
「なんともったいないことをするのですか?」と憤りをもって栄養士さんに尋ねる父。
しかし、その答えは「ああそれね それをもっと煮込んでからガーゼで絞るんですよ」
「でも、そんな肉おいしくもなんともないじゃないですか」
「そうでなくて絞り取った煮汁を使うんです」
「どうやって?」
「鼻から胃に通したチューブを使って流すんです。
そんな患者さんが最近増えて私たちも手間取ってるんですよ!」と
そのとき、父の頭にキラーンと星が輝いたという。

長野県の飯田市で生まれ育った父は
栄養価が高い食べ物といえば「卵」だった。
「卵を粉状にできないか?」と考えた父。
しかし、卵は加熱すると凝固する。
ならば生卵を酵素で分解した後に乾燥すれば凝固しないし、
そのほうが消化しやすい。
その粉末を白湯で溶いてチューブに注入する。

そのアイデアは当時では画期的であったらしく
製品化されると多くの支持を受けた。
製品名を「エグロン」という。
父らしい命名だ。
なぜチューブで食事を摂らなければならないかというと
脳の障害や外傷による意識障害。
咽頭、食道などの上部消化管の術後など様々な理由がある。

その後、製品は改良されてゆく。
卵だけでは蛋白質ばかりになるので
でんぷんを酵素処理したデキストリンと、
米油、大豆油を1対1にしたものを
乳化剤で乳化したあとスプレードライした粉末油脂を加え、
必要量のビタミンなどを混ぜて、
ほぼ完全栄養といわれるものが出来た。
今でいう濃厚流動食だ。
商品名を「アイオール」という。
どういう意味かと父に聞いたことがある。
「愛がすべて、さ」
腹を抱えて笑った。

アイオールは改良を繰り返しつつも売れていった。
その反面、本業であった薬はジリジリと売れなくなっていく。
父の頭の中で、だんだん「薬」という文字が消えてゆく。
アイオールは病院で使用され、しかも重症患者に供される。
そして患者の様子はみるみるよくなっていく。
「食品でこんなに変わるのか」と
思ったに違いない。
栄養が全く摂れなかった人に栄養を与えるのであるから、それも当然と言えば当然だ。

「薬でなく食品に出来ることがこんなにあるのか」と思った父は製薬を止めた。
当時の社名は「三協製薬工業株式会社」といった。
しかし、社名を変えるまでにはあと30年かかる。

父が亡くなり私が社長となり15年後、
社名を「ニュートリー」とした。2006年のことだ。
ニュートリション、栄養という意味から取った。
「食品だから出来ること」という父のソウルが今も生きている。

To be continued……

ニュートリー株式会社 代表取締役社長 川口晋 〈文〉

仲條順一 〈イラスト〉

2011年12月

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